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クラシックシェービング入門|必要な道具とやり方

クラシックシェービングに必要な道具や手順についてまとめました。

現代では電動シェーバーや使い捨てカミソリが主流ですが、クラシックシェービングは古くからの道具と技術を使い、より丁寧で深いシェービング体験を楽しむことができます。

基本的な準備や流れ、おすすめの道具や参考サイトなども紹介していきます。

クラシックシェービングの記事一覧はこちら

はじめに

クラシックシェービングは、主にストレートレザー(剃刀)や両刃カミソリを使った髭剃り方法です。

シェービングブラシで泡立てたシェービングソープやクリームを使い、手動で髭を剃っていきます。

クラシックシェービングの利点は、「深剃りが可能」「肌に優しい」などいくつかあるのですが、個人的には「道具を使う楽しさ・スキルを磨く面白さ」が一番の魅力かなと思っています。

このガイドでは、初心者でも分かりやすくクラシックシェービングの基本から応用までを紹介していきます(主に両刃カミソリを使った方法)。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、正しい道具と手順を覚えることで、次第にその魅力と楽しさを実感できるようになるはずです。

第1章: 必要な道具

クラシックシェービングを始めるには、いくつかの基本的な道具が必要です。この章では、各道具の選び方や使い方について説明します。

1.シェービングブラシ

シェービングブラシは、シェービングソープやクリームを泡立てて顔に塗るための道具です。

ブラシは大きく分けると、動物毛ブラシと合成繊維ブラシがあります。

  • 動物毛ブラシ:代表的なものには、バジャー(アナグマ毛)、ボア(猪毛)、ホース(馬毛)などがあります。バジャーブラシは柔らかく、泡立てが容易で、最も人気があります。ボアブラシは硬めで、初めは使いにくいかもしれませんが、使い込むうちに柔らかくなります。ホースブラシはその中間の硬さで、バランスが取れています。
  • 合成繊維ブラシ:最近では、動物毛に代わる合成繊維のブラシも人気があります。これらは動物毛アレルギーのある人や、動物愛護の観点から選ばれることが多いです。また、合成繊維ブラシは乾燥が速く、メンテナンスが容易です。

ただし、いずれも値段や質はピンキリです。

あまりにも安いものだと、使う度に抜け毛が発生するなど快適に使えないものがあるようなのでご注意ください。

ブラシに関しては「これが定番」と呼べるものは無いのですが、定番ブランドから出ているものを選べば大きく失敗することはないと思います。

ミューレのアナグマ毛ブラシと人工毛ブラシを比較した記事を書いていますので、こちらも参考になさってみてください。

特にこだわりがなければ、最初は合成繊維ブラシを選ぶのが良いでしょう(乾燥が早く、メンテナンスが容易で、連日使用することができる為)。

2.シェービングソープとシェービングクリーム

シェービングソープのおすすめブランドガイド

シェービングソープとクリームは、髭を柔らかくし、滑らかな剃り心地を実現するための重要なアイテムです。

  • シェービングソープ:固形の石鹸状で、シェービングブラシを使って泡立てます。泡が濃密で、保湿効果が高いものが多いです。
  • シェービングクリーム:チューブやジャーに入っており、比較的簡単に泡立てることができます。初心者にはクリームの方が使いやすいかもしれません。

どちらが良いかは完全に好みの問題ですが、個人的にはシェービングソープの方がおすすめ。

選択肢がめちゃくちゃ多いので、選ぶ楽しみがあります。

国内のAmazonとかで買えるものだとPRORASO (ポロラーソ)あたりが有名どころ。

僕は海外から個人輸入していて、Barrister and MannSoap Commanderなどのシェービングソープがお気に入りです。

3.シェービングボウル

シェービングボウルは、シェービングソープやクリームを泡立てるために使用します。

ボウルの深さや大きさは泡立てやすさに影響しますので、ブラシのサイズに合ったボウルをチョイスする必要があります。

だいたい直径が10cm~11cmくらいあるものを選べば、どんなブラシでもラザリング(泡立て)しやすいと思います。

素材はセラミック、ステンレス、木製などがあります。

セラミックは重くて安定性がありますが、落とすと割れるので注意が必要です。ステンレスは耐久性があり、軽くて扱いやすいです。木製は温かみがあり、クラシックな雰囲気を楽しめます。

僕はByronShavingCompanyのLather Masterというステンレスボウルと、セラミックのシェービングスカットルを気分に応じて使い分けています。

4.カミソリホルダー

カミソリホルダーは、クラシックシェービングの中心的な道具です。ヘッドに両刃カミソリをセットして使用します。

カミソリホルダーも選択肢が山のようにあるのですが、かなりざっくり大別すると「マイルド」と「アグレッシブ」の2種類があります。

特徴/要素マイルドなカミソリホルダーアグレッシブなカミソリホルダー
刃の露出少ない多い
刃の角度緩やか鋭い
剃り心地ソフトで優しいシャープで攻撃的
適応肌タイプ敏感肌普通肌から硬い髭の肌
対象ユーザー初心者上級者
深剃り難しい可能
メリット肌に優しく安全、扱いやすい深剃りができる、精密な剃りが可能
デメリット深剃りが難しい肌への刺激が強く、扱いに技術が必要

僕は「マイルド」と「アグレッシブ」のちょうど中間のような仕上がりのミューレROCCAというモデルを使っています。

中には「アジャスタブル」といって、刃の露出度を調整できてマイルド〜アグレッシブまで可能なモデルもあるので、どちらが良いか迷ったらアジャスタブルを選んでも良いでしょう。

5.カミソリ替刃

カミソリの替刃も世界に100種以上存在します。

替刃によって剃り心地や快適さが変わってくるのですが、これは個人差が大きいので、色々買って自分に合ったものを見つけていくしかありません(それが楽しい)。

複数のメーカーの替刃をちょっとずつ試せるサンプルパックみたいなものも売っているので、最初はそういったものを買って色々試してみると良いです。

モダンクラシックシェービングの記事に替刃の鋭さ数値グラフを参考に選ぶ方法を記載しておりますのでご参照ください。

多くの替刃が1箱5枚〜10枚入りで数百円なんで、長期的に見れば5枚刃カートリッジなどよりもランニングコストは安いです。

6.アフターシェーブケア用品

剃り終わった後の肌を整え、健やかな肌を保つためにもアフターシェーブケアまで行いましょう。

アフターシェーブは大きく分けてローションとバームの選択肢があります。

  • アフターシェーブローション:アルコールを含むものが多く、肌を引き締め、消毒する効果があります。爽快感がありますが、乾燥しやすい肌には不向きです。
  • アフターシェーブバーム:保湿成分が豊富で、乾燥肌や敏感肌に適しています。アルコールフリーのものが多く、しっとりとした仕上がりになります。

アフターシェーブと銘打っていない、普通の洗顔ローションや保湿剤を使っても問題ありません。自分の肌質に合ったものを選ぶと良いでしょう。

ちなみにアルコールを含むアフターシェーブローションは規制により海外から個人輸入できません。

海外から個人輸入する場合は基本的にバームを選ぶことになります。

シェービングソープ紹介記事で、バームも一緒に紹介しておりますのでこちらも参考に。

第2章: シェービングの準備

クラシックシェービングにおいて、シェービングの準備は非常に重要です。適切な準備を行うことで、肌を保護し、滑らかな剃り心地を実現できます。

1.プレシェーブ

※これは必須ではありません。僕はやっていませんが、敏感肌などカミソリ負けをしやすい人は、これを行うと良い結果が得られる可能性があります。

プレシェーブの段階では、肌と髭をシェービングに適した状態に整えることが目的です。

プレシェーブ剤にもいくつか種類がありますが、よくあるのはクリームやオイルです。

オイルは以下の役割を果たします。

  • 保湿と保護:プレシェーブオイルは、肌を保湿し、保護する役割を果たします。オイルが髭を柔らかくし、カミソリの滑りを良くすることで、肌への摩擦を減らします。
  • シェービングのスムーズ化:オイルが皮膚とカミソリの間にバリアを作り、カミソリの動きがスムーズになります。これにより、肌への負担が軽減され、カミソリ負けのリスクが減少します。

プレシェーブじゃないですが、僕も以前、オイルシェービングを行っていた時期がありました。

2.顔を温める方法

顔を温めヒゲに水分を含ませることで、髭が柔らかくなり、シェービングが容易になります。

方法① ホットタオルを使う

  • 準備:清潔なタオルを用意し、熱めのお湯でしっかりと濡らします(電子レンジで温める方法もある)。タオルを軽く絞ってから、顔全体にかぶせます。
  • 時間:タオルを顔にかけた状態で約2〜3分間待ちます。この間に髭が柔らかくなり、毛穴が開いてシェービングがしやすくなります。

方法② シャワー後にシェービングする

  • タイミング:シャワーを浴びた直後は、蒸気とお湯の効果で髭が柔らかくなり、肌も適度に湿っています。このタイミングでシェービングを行うと、カミソリがスムーズに動き、髭を効果的に剃ることができます。

3.シェービングクリームやソープの準備

シェービングクリームやソープを正しく泡立てることで、シェービングの質が向上します。

泡立ての技術

  • シェービングブラシの準備:シェービングブラシをお湯で湿らせ、余分な水分を軽く振り落とします。動物毛ブラシを使う場合は、ブラシに吸水させる為数分間お湯に浸しておく必要があります。人工毛ブラシの場合は浸しておく必要はありません。
  • クリームやソープの使用:シェービングクリームを少量(アーモンド大)手のひらに取るか、シェービングボウルに入れます。シェービングソープの場合は、ソープ容器に直接ブラシを突っ込んで泡立てる方法がメジャーですが、ヘラで掬い取ってシェービングボウルで泡立てるやり方がおすすめです(その方が衛生的で香りも飛びづらい)。
  • 泡立て方:ボウルの中でブラシを円を描くように動かしながら、クリームやソープを泡立てます。徐々に水を加えながら、濃密でクリーミーな泡ができるまで泡立てます。

適切な泡の作り方

  • テクスチャー:泡がクリーミーで硬すぎず、柔らかすぎない状態が理想的です。手のひらに取った際に、形を保つ程度の硬さが適しています。
  • :顔全体に均一に塗布できる十分な量を準備します。少量ずつ加えながら調整しましょう。

第3章: クラシックシェービングの手順

クラシックシェービングは、正しい手順を踏むことで快適で効果的なシェービング体験となります。

この章では、初心者でも分かりやすいステップバイステップ形式で、クラシックシェービングの基本的な手順を説明します。

ステップ1: 泡立て

  1. シェービングブラシの準備
    シェービングブラシをお湯で十分に湿らせ、余分な水分を軽く振り落とします。
  2. クリームやソープの取り方
    シェービングクリームもしくはソープを少量(アーモンド大)をヘラで掬い取ってシェービングボウルに入れます。
  3. 泡立て方
    ボウルの中でブラシを円を描くように動かしながら、クリームやソープを泡立てます。徐々に水を加えながら、濃密でクリーミーな泡ができるまで泡立てます。
  4. 適切な泡の作り方
    泡がクリーミーで硬すぎず、柔らかすぎない状態が理想的です。手のひらに取った際に、形を保つ程度の硬さが適しています。
  5. 顔への塗り方:作った泡をブラシで顔に乗せていきます。このとき、最初はざっと泡を乗せていくように塗りつけ、最後に逆剃りをするように下から上にブラッシングするようにすると泡が綺麗に整います。

ステップ2: 正しくカミソリを持つ

カミソリはハンドルを軽く握り、刃が肌に対して約30度の角度で当たるようにします。軽い力で滑らせるように剃ります。

角度や力の加減は最初は難しいかもしれませんが、数回繰り返せば徐々にコツが掴めてきます。

最初のうちは肌に触れるか触れないかくらいの感覚で、優しく肌を撫でるように意識すると失敗しづらいかと思います。

ステップ3: シェービング

以下が一般的な剃り方の手順(3パス)です。

  1. 髭の流れに沿って剃る
    シェービングクリームやソープを顔に均一に塗布し、髭の流れに沿って(順剃り)剃ります。短いストロークでカミソリを動かし、頻繁に刃をすすぎます。
  2. 二度目の剃り(横剃り)
    一度目の剃りが終わった後、再度シェービングクリームやソープを顔に塗布します。今度は髭を横から刈るように剃ります。
  3. 三度目の剃り(逆剃り)
    二度目の剃りが終わった後、再度シェービングクリームやソープを顔に塗布します。髭の流れに逆らって(逆剃り)剃ります。逆剃りは深剃りを可能にしますが、肌に刺激を与えやすいため、慎重に行います。
  4. 繰り返し剃る際の注意点
    必要以上に何度も同じ箇所を剃らないようにしましょう。常にシェービングクリームやソープで肌を潤滑させることを忘れずに。

必ずしもこの手順で行わなければならないということはありません。

ちなみに僕は上記とは異なり、軽めの逆剃り→逆剃り→剃り残しタッチアップ、という方法で剃っています。この方が早くて綺麗に剃れることに気づきました。

肌質や髭の生え方に合わせて、効率的かつ快適に剃れる方法を探りましょう。

第4章: アフターケア

クラシックシェービングの後には、肌を整え、保護するためのアフターケアが重要です。

正しいアフターケアを行うことで、肌の健康を保ち、シェービングによる刺激を最小限に抑えることができます。

ステップ1: シェービング後の洗顔

  1. 冷水で顔を洗う
    シェービングが終わったら、冷水で顔を洗います。これにより、シェービングクリームやソープの残りを洗い流し、毛穴を引き締める効果があります。
  2. 優しくタオルで拭く
    タオルで顔を拭くときは、こすらずに軽く押さえるようにして水分を取ります。これにより、肌への余計な刺激を避けられます。

ステップ2: アフターシェーブバームの使用

適量のバームを手に取り、顔全体に優しくマッサージするようにして塗布します。特にシェービングによって刺激を受けた部分には、丁寧に塗り込みます。

バームと書きましたが、ローションが好きであればローションで構いませんし、ローションとバーム両方を使用しても構いません。

保湿できればいいと思うので、個人的にはバームを使用するだけで十分だと思っています。

付録

クラシックシェービングに関するお役立ちウェブサイトのまとめです。

  • ミニマログ クラシックシェービングカテゴリ一覧:当ブログのクラシックシェービング関連記事一覧です。
  • Shave and Grind:クラシックシェービング専門ブログです。文章が面白くて、僕は全記事読みました。
  • Maggard Razors:アメリカのシェービング用品専門店。僕は大体ここでクラシックシェービング用品を購入しています。
  • KOJAK RAZOR:日本のシェービング用品専門店。品揃えが結構豊富なので、ここでシェービング用品を揃えてもいいかも。
  • Sharpologist:海外のめっちゃ詳しいクラシックシェービングブログ(英語)。マニア向けですが、読むと面白いのでクラシックシェービングを極めたい人におすすめ。
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