前回、前々回の記事で書いた通り、旅行に履いて行こうと思っていたジェイエムウエストンの革靴が2足とも修理になってしまった為、新たな靴を購入しました。
購入したのは、Tricker’s(トリッカーズ)のカントリーブーツ。
店員さんにトリッカーズは足に馴染むまで半年は掛かると言われたのですが、僕は買ってすぐに5泊6日の旅行へ履いていきました。
果たしてその結果やいかに…。
ジェイエムウエストンのワーカーブーツを見に行ったんだけど…
実は元々買おうと思っていたのはトリッカーズではなく、ジェイエムウエストンのワーカーブーツ#742というモデルの靴でした。
↓これ。
グレインカーフで作られていて、堅牢そうなラバーソール仕様なんで、ワーカーブーツという名の通り過酷な環境で履いても壊れなさそうで良いなと思ったんですよね。
しかし現物を見にジェイエムウエストンの店舗へ行ってみたところ、このモデルはすでに生産終了してしまったらしく、残念ながら僕に合うサイズはもう残っていませんでした。うーん、残念。
ジェイエムウエストンには他に良さそうだと思うワークブーツが無かったんで、代わりに別のブランドの靴を買うことにしました。
Tricker’s青山店へ
「タフな靴」ということで真っ先に思いついたのは、トリッカーズのカントリーブーツでした。
同じ偏愛系ブロガー(だと勝手に思っている)のちゃん貴さんが、18年愛用したトリッカーズをブログで紹介されていて、それがとても記憶に残っていたからです。
18年もガシガシ愛用できるってことは相当頑丈な靴だと思いますし、ちゃん貴さんがこれだけ絶賛するくらいだから、ちょっと履いてみたいな〜と思っていたんですよね。
というわけで、J.M Weston青山店を出たその足で、Tricker’s青山店へ向かいました。ちなみにこの2店舗は地理的にめっちゃ近いです。
Tricker’s青山店のドアを開けると、そこにはトラッドな服に身を包んだ店員さんが。やはり、どことなくイギリス風味を感じました。
お店に入った瞬間分かりましたが、ジェイエムウエストンとは世界観がまるで違っていて面白かったです。
ウエストンの店員さんはどこか中性的で穏やかな感じなんですが、トリッカーズの店員さんは尖った職人みたいな雰囲気。
挨拶も声がけも案内も一切なく、こちらから話しかけるまでガン無視で黙々と作業しているスタイル(笑)
ただし恐る恐る話しかけてみると、商品知識やシューフィッティングの技術が極めて高くてビビりました。トリッカーズの靴の特徴について色々聞けて、勉強になりました。
ジェイエムウエストンの店舗では、お客さんは複数名居てしかも全員女性でした。一方トリッカーズの店舗はお客さんが誰1人居ませんでした(笑)この対比もなんか面白かったです。
M5634 STOW / BLACK CALF (DAINITE SOLE)
僕は最初から、買うならダイナイトソールのカントリーブーツが良いなと思っていました。
モデル名で言うと「M5634 STOW / BLACK CALF (DAINITE SOLE)」です。
レザーソールも良いんですが、濡れた路面など悪路も気にせず歩きたかったので、ラバーソール系が欲しいと思っていました。
ちなみに店員さんが教えてくれましたが、本国(イギリス)ではダイナイトソールの方が人気らしいです。
試着してみたところ、足をピタッと包み込んでくれて想像以上に良い履き心地。
使えそうな靴だと直感したんで、このダイナイトソールのカントリーブーツを買うことに決めました。
ちなみに価格は132,000円。ちょっと前まで8万円台だったはずが、えげつない値上がりであります…。
値上がりには素材の高騰や戦争による石油高騰などの背景あり。
僕の場合、ジェイエムウエストン180ローファーは薄いソックスを履いて5D、トリッカーズのカントリーブーツは厚いソックスを履いてサイズ6&フィッティング(ウィズのこと?)5でジャストサイズでした。
ちなみに僕が買った時はキャンペーンをやっていて、ノベルティのシューツリーが無料で付いてきました。
色はちょっとだけ悩んだんですが、コーディネートのしやすさなどを考慮しブラックをチョイス。
引用元:https://www.gmt-tokyo.com/collections/trickers-all/products/00262204020100002000
色について店員さんに聞いた情報は、確かこんな感じでした。
- エイコーンはトリッカーズのアイコン的カラーで他のブランドにあんま無い。
- マロンやエスプレッソは経年変化しやすい。
- シーシェイドは泥が目立たないように開発されたもの。経年変化あんましない。
シーシェイドの色って、そんな意味があったんですねぇ。
着用前のひと手間
そんなわけでトリッカーズのカントリーブーツを手に入れたわけですが、着用する前にちょっとひと手間加えました。
靴紐の交換
まず靴紐を紗乃織靴紐(さのはたくつひも)に交換しました。これは僕のちょっとしたこだわりです。
トリッカーズのカントリーブーツに合わせる場合、紐の長さは120cmがジャストです。最初からついている純正の紐も120cmでした。
紗乃織靴紐は蝋付け加工が施されていてツヤッとした質感なので、付け替えると少しドレッシーな雰囲気になります。紐の耐久性も抜群で、蝋のおかげで結び目も解けにくくなるというメリットもあり。
今回、初めて平紐バージョンを買ってみました。つけてみるとこんな感じ。
右が紗乃織靴紐を装着した状態。純正よりキリッと引き締まって少し端正な顔立ちになりました。
紐の色は黒にしましたが、ダークブラウンでもカッコよかったかもしれません。
プレメンテ
履く前に靴クリームでプレメンテを行いました。
使用したのはお馴染みBrift H(ブリフトアッシュ)のTHE CREAMという靴クリーム。靴の色に合わせてブラックを使用しました。
Brift Hのクリームは伸びが良くて、サラッとした使用感なのが気に入っています。
塗り終わると、気持ちちょっと革が柔らかくなった感覚がありました。
雨対策
この靴は悪天候でもガンガン履こうと思っているんで、防水スプレーを振りかけました。
使用したのはBrift HのTHE SPRAYというフッ素系の防水スプレー。
別にかけなくても問題ないとは思うんですが、これをやっておくと雨に濡れた時のケアがラクになるんですよね。
これで大雨でも怖くない。
カントリーブーツ用靴下
トリッカーズの店員さんに言われましたが、カントリーブーツは厚手の靴下を履くことを前提に作られているらしいです。
なので、それっぽい靴下を買いました。厚手の靴下はほとんど履いたことがないんで、試しにユニクロで購入。
普通の長靴下は大量に陳列されていたんですが、厚手のものとなると案外選択肢が少なかったです。
厚みはネットじゃ分かりづらいんで、購入する際はめんどいですが実際に店舗へ行って確認して買った方がいいかもですな。
とりあえず3足買ってみました。どれも似たような厚みですが、強いていうなら真ん中の縞模様のやつが一番厚みを感じます。
僕の履き慣らし記録
いよいよ履き慣らしです。
店員さんの説明によると「週に2~3回履けば半年くらいで馴染んでくる。週1くらいの頻度だと1年以上はかかるかも」とのこと。
しかし、僕は万力締めで知られるジェイエムウエストンのローファーを初日から会社に履いて行ける男。
ウエストンを攻略した鋼の足をもって、トリッカーズも最短で履き慣らして見せましょう。
1日目
初日は買い物に行く際に履いてみました。
さすがに初回は靴擦れする可能性を見越して、
- 靴下の上の方を折り返して二重にする。
- 痛みそうな踵に絆創膏を貼っておく。
という対策を行って着用。
もし靴擦れが起こるとしたら、ブーツの足首から上の部分と踵あたりだろうと思ったんで、その二箇所を保護しました。
履いてみると、確かに新品の革ならではの硬さは感じましたが、足が痛むというほどのことはありませんでした。
靴紐を一番上の穴まで通すと足首がガッチリ固定され過ぎて階段を降りるときに苦労したんで、途中で一番上の穴には通さずに履くスタイルに変更しました(ちなみにトリッカーズの店員さんも一番上は通さずに履いていると言っていた)。
結局この日はトリッカーズを履いて買い物に出かけて、1万5千歩ほど歩きました。我ながら初日から飛ばし過ぎであります(笑)
それでも靴擦れは無く、痛みも無く、普通に履けてしまいました。
2日目
1日目がノーダメージだったんで、靴擦れ対策の靴下の折り返しと絆創膏をやめて、普通に履いてみました。
結果、靴擦れ対策なしでも全く問題なく履けました。
この日は9,500歩ほど歩きましたが、特に痛みなどは感じず。
翌日から5泊6日の旅行に出かける予定だったので、このカントリーブーツを旅行に履いて行って、さらに履きならすことにしました。
3日目以降
3日目以降は旅行での着用となります。
ちなみに旅行にはトリッカーズとジェイエムウエストンのローファーの2足を持っていきました。
旅路や旅先での散策のときはトリッカーズを履き、レストランなど綺麗な場所に行く際はジェイエムウエストンを履く、というように使い分ける為です(ウエストンは万が一旅行中に靴擦れが起きた場合の保険でもあった)。
旅行中は小雨の中を歩いたり、海辺を歩いたり、とにかく色んなシチュエーションでトリッカーズを履きました。
iPhoneの記録を見返してみたところ、日々9,000〜1万歩ほど歩いていました。
毎日結構歩いたので、トリッカーズの足先には少しシワが入り、シャフト(足首の上の方を包んでいる部分)もグニッと変形していきました。
ここまでくると、もはやスニーカーのような柔らかさすら感じるように。なんでしょう、まるで柔らかなバスタオルで足を包まれているような感覚です。
5泊6日の旅を経て、履き慣らしは完全に終わったと言えましょう(半年は掛かるって話は何だったんだろう…)。
苦労せずに履けた要因を考察する
意外にも呆気なく終わった履き慣らしですが、なぜこうも苦労せずに履けたのか、要因仮説を洗い出してみました。
ざっと思いつくところを書いてみましたが、どれが要因として大きいのかはイマイチわかりません。
靴のサイズがデカすぎたってことも無さそうです。履くときにシュッと空気が抜ける音がして、完全にジャストサイズで足にピッタリフィット。
靴クリームを塗った後は明らかに履き心地が柔らかくなったので、クリームの影響が結構デカいのかも。
プラス、靴紐を変えたことにより相乗効果でさらに履きやすくなったのかな。
何はともあれ、簡単に馴染んでくれて良かったです。
いつでも、どこへでも履いて行ける安心感
久しぶりにブーツを履きましたが、足全体を優しくプロテクトしてくれるような感覚が心地良いですね。
そうそう、ジェイエムウエストンとトリッカーズの革靴を触り比べてみて気づいたのですが、革の質感が全然違いました。
ジェイエムウエストンは赤ちゃんのように繊細なスベスベ肌、トリッカーズは筋肉ムキムキのボディービルダーみたいな肌って感じです(笑)
トリッカーズは触っただけで頑丈であることがわかるんで、雨でも砂利道でも、どこへでも履いていける安心感があります。
ジェイエムウエストンは綺麗目に履き続けるとして、トリッカーズはカントリーブーツらしくラフに履いていくつもり。今後もガシガシ歩くような旅行には、トリッカーズを履いていこうかと。
雑に履いて、シワが刻み込まれ、革がエイジングし、傷だらけになった姿こそ、トリッカーズの真の完成系なのかもしれません。
まさに履きこむほどカッコよくなっていく靴。トリッカーズと共に歩む未来が、とても楽しみになってきました。
コメント
選んだ経緯、ケア、レポ…読んでいてとても楽しかったです!
様々なシチュエーションでの革靴との付き合い方、
最近気になってまして。
モノの紹介だけではなくこういった物語の紹介もあるのが
ミニマログさんのブログの好きなところです笑
日常をREPRODUCTION OF FOUND ジャーマントレーナー
フォーマルをPETROSOLAUM 1eyelet で過ごしておりますが、
天候等も加味した様々な用途でシームレスにイケる靴をあと一足…が
今の足りないピースと感じてまして。
…このラフ革靴という考え方アリですね!
靴は雨対策として所謂専用用途の有名処をミーハーに
ハンターブーツやダナーフィールド等所持してましたが
魅力を感じたら迎える前にメリット面知識は沢山蓄えるものの、
修行知識不足で修行に耐えられず手放した経緯も多々あるので
修行を耐える熱量があるか、また経験者の語るある種のデメリット
(例えばダナーは重さによる足の疲労も気になった、等)
も含めた要素も偏愛出来るかどうか。も今後ポイントとしたいですね〜
私の手元に未だ10年選手がいないのがこういうところにある気がします笑
>KOHさん
いつもコメントありがとうございます!!
ラフ革靴、めちゃめちゃ良いです!雨の日も雪の日も気にせず履けて、悪天候時のストレスが無くなりました!
確かに、靴は修行や重さなど履いてみないと分からない部分があるので、選ぶのが難しいですよね…!
10年選手は「デメリットも含め愛でる」の精神が必要なのかもしれません(笑)
近年は靴も値上がりしてきているので、お気に入りの靴を見つけて、リペアしながら長く愛用していきたいですね〜。