コーヒーの味わいが変わる革新的なグラス、「KRUVE EQグラス」をレビューします。
このグラスは、コーヒー専用に作られたという珍しいグラス。
「科学的に計算された形で、コーヒーの味が変わる」という謳っており、海外のコーヒー好きの間でちょっと話題になってたやつです。
今回は、実際に購入して本当に味が変わるのかを検証してみました。
KRUVE (クルーヴ)について
KRUVEはカナダの企業で、コーヒーに関わるプロダクトをいくつか手掛けている会社です。
公式サイトを見ると、革新的なプロダクトによってコーヒー体験を進化させる、ってのをミッションにしているっぽい。
2015年に「KRUVE シフター」という、コーヒー粉専用のふるいをリリースし、日本でも話題になりました。
KRUVEのEQグラス
今回レビューするのは、そんなKRUVEから2018年にリリースされた商品「EQグラス」。
こちら、SCA(スペシャルティコーヒー協会)が選ぶThe 2019 Best New Product Winnersに選ばれた商品でもあります。
なんでも、バリスタの世界チャンピオンや神経科学の専門家などのアドバイスを取り入れつつ開発されたというもので、味・香り・感触・見た目などコーヒーをより美味しく味わうために科学的に計算しつくされたグラスウェアらしい。
僕が調べた限りでは、こういった「科学的なコーヒーグラス」みたいなものは他に見当たらなかったので、今のところコーヒーグラスとしては唯一無二の存在かと。
EQグラスは異なる形状で2種類あり、それぞれ特徴が違います。
この商品紹介動画がわかりやすいかも。
個人的には、ダブルウォールなのに飲み口が薄いという作りなどは素晴らしい工夫だなと思いました(ダブルウォールのグラスは日本にもたくさんありますが、こういうのは見たことがない)。
ちなみにEQとは「イコライザー」のことみたいです。
オーディオイコライザーのように、特定のフレーバーノートを増幅または柔らかくするように設計されいるんだそうな。
面白い実験動画
実はこの商品、発売当初から知っていたものの、特に気に留めることもなくスルーしてたんですよ。
ですが、最近以下の興味深い実験動画を発見し、ものすごく興味をそそられました。
この動画では2つのEQグラスに注いだコーヒーを色々な人に飲み比べしてもらっているんですが、中身が全く同じコーヒーにも関わらず、グラスが違うだけでみんな別物のコーヒーと勘違いしちゃうんですよ。
後半で「実は中身は2つとも同じコーヒーなんだよ」とネタバラシするんですが、みんな驚愕している様子が見てとれます。
これは面白い…試してみたい…!
1ヶ月ちょっとかかって到着
というわけで、期待を胸に「KRUVE EQグラス」を注文しました。
海外からのお取り寄せなので、1ヶ月ちょっとかかって到着しました。
初期の頃はクラウドファンディングで購入する形でしたが、現在は公式サイトから購入可能です。
セットの内容は、
- 酸味を抑えて甘味を引き立てる「EXCITE」
- 甘みを抑えて酸味を引き立てる「INSPIRE」
の2種類のグラス。
EXCITE
EXCITEは飲み口が広く、手に持つ部分がシェイプされた形状。
公式サイトによると、
EXCITEグラスは5オンス(150 ml)を保持し、球状の形状と大きな液体表面積を備えています。
https://www.kruveinc.com/pages/eq-glassware
アロマを閉じ込め、循環させながら、酸味をやわらかくし、甘さを高めます。
フルボディ、チョコレート、ナッツ、ダークローストとよく合います。
とのこと。
INSPIRE
INSPIREは飲み口が狭く、EXCITEとは逆に持つ部分が膨らんだ形状。
公式サイトによると、
INSPIREグラスは5オンス(150ml)を保持し、内側のガラス形状が狭く、液体の表面積が小さくなっています。
https://www.kruveinc.com/pages/eq-glassware
酸味を高めながら、アロマを集中させます。
フルーティー、シトラス、軽いローストとよく合います。
とのこと。
【検証①】本当にコーヒーの味は変わるのか?
それでは、さっそく検証です。
まずは上で紹介している動画と同じように、全く同じコーヒーを2種のグラスに注ぎ分けて味が変わるかどうかを試してみました。
検証方法
以下の方法で作ったコーヒーをグラス違いで飲み比べました。
- 使用した豆:エチオピア ウォルカ・ウリ ハロハディ シティロースト(堀口珈琲)
- 淹れ方:ケメックスを使用しプアオーバーで抽出
- 注ぎ方:出来上がったコーヒーはよくかき混ぜた上で、小分けに交互にグラスに注ぎ、できるだけ成分の偏りが生まれないよう配慮
ちなみに淹れ方はバリスタの井崎英典さんが「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」で提唱している方法を用いて、豆の味をしっかりと引き出すようにしました(今のところこの淹れ方が最も美味しいと感じている)。
結果
驚きです。香りや味がはっきりとわかるレベルで違いました。
EXCITEの方では香りの中に甘味を感じ、口に含む前から味が想像できるくらい香りが瑞々しく広がりました。飲んでみると、甘味のある香りでふわっと包み込まれる感じ。
INSPIREの方では香りはそこまで広がりを感じなかったものの、確かに酸味が強調された味わいでした。湯温もおそらくEXCITEより高く保たれており、口に入れたときの印象がまるで違います。
アイスでも同じように変わるかな?と思い、同じ豆でコールドブリューコーヒーを作ってアイスでも飲み比べてみました。
アイスはホットのときよりもはっきりとした違いではないものの、確かに違いを感じました。
【検証②】コーヒー以外の味も変わるか?
次に、コーヒー以外でも味が変わるか試してみました。
これ、試したいと思ってたんですよね。
検証方法
今回はビールで検証。
普通のビールでも良かったですが、どうせなら香り豊かなクラフトビールで試そうと思い、僕の好きな「よなよなエール」を2つのグラスで飲み比べてみました。
結果
なんと、ビールでも味の違いを感じました。
EXCITEの方で飲むと、華やかさが際立つ感じ。苦味を感じず、飲みやすくなる印象です。
一方INSPIREの方で飲むと、苦味が強調されるような印象。クイっと一気に飲み干したくなるようなキレを感じました。
これは面白い!
【検証③】コーヒーのお酒で試したらどうなる?
本当は検証②で終わりの予定だったのですが、ここで閃きました。
検証①で使用したコールドブリューコーヒーと、検証②で使用したよなよなエールを合わせて、ビアブラックボールを作って飲み比べたらどうなるのか?と。
今までこうやってコーヒーとビールを合わせたことは無かったので、初めての試みでした。
検証方法
コールドブリューコーヒーとよなよなエールを1:1でミックスし、2つのグラスで飲み比べ。
作り方はこちらを参考にしました。
結果
なんとなんと、これも味の違いを感じました。ていうか美味い!!
EXCITEの方は、まず非常に甘い香りを感じます。ビールの華やかな芳香とコーヒーの香りがよく調和して、甘く柔らかい飲み心地。まるでデザートのような印象でした。
INSPIREの方では、香りはややコーヒーが強調されたような印象。飲み心地は適度な酸味が感じられ、さっぱりとしていました。
ビールの炭酸も相まって、コーヒーの香りがより花開いたのでしょうか?両者ともに、ものすごく良い香りです。
グラスによる違いに驚いたのはもちろんなんですが、それ以上にこのビアブラックボールが美味しすぎました(笑)なんだこれ。
美味しいコーヒーを使ったのが良かったのかな?
この悪魔的美味しさ、リピートせざるを得ない。
新しい楽しみ、見つけた
というわけで今回検証した3パターン、いずれも味の違いを感じられるという結果となりました。
謳い文句は本当でしたね。
使ってみてわかりましたが、実はこのEQグラスにも難点があって、少し大きすぎる・洗いづらい、といったところはちょっと使いづらいポイントかもしれません。
上で紹介した堀口珈琲の豆以外にも、さらに三種類ほどの豆を飲み比べてみましたが、浅すぎる煎りの豆だとハッキリとした違いを感じづらくなるといったこともわかりました。
とはいえ、「イコライザーのように味を調整できる」というコンセプトは革新的で面白く、コーヒーの楽しみ方が1つ増えたのは嬉しいことです。
いやー、コーヒー以外の飲み物についても言えることだと思うんですが、飲むのに使うグラスってめちゃくちゃ重要ですね。
「なにを飲むか」だけじゃなく、「なにで飲むか」も同じくらい重要だってことに改めて気づかされました。
考えてみれば、グラスは毎日使うもの。
今まで適当なものを使っていたけど、ある程度投資して、徹底的にこだわったグラスを探すってのも面白いかもですね。
少し調べてみると、ビールを味わうためのグラス、ワインを味わうためのグラスなど、コーヒー以外の飲料領域では結構グラスが開発されているみたい。コーヒーグラスも、探せば実は他にもあるのかも。
…新しい楽しみを見つけてしまいました。
ちょっと、偏愛グラスを探す旅に行ってきます(笑)
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