10年後も手放さない、お気に入りアイテムを語るこのシリーズ。
第5回目は「J.M. Weston 641 ゴルフ」について。
ジェイエムウエストンと言えば、180シグニチャーローファーとこの641ゴルフを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
vol.1の記事で紹介した通り、僕は180シグニチャーローファーも持っていて、ローファーの次に購入したのがこの641ゴルフでした。
ローファーとゴルフ、双方を履いているからこそ気づいた点などを掘り下げて語っていきたいと思います。
僕が所有する2足のゴルフ
僕が持っているのは641ゴルフの「ロシアンカーフモデル(ブラック)」と「ノヴォカーフモデル(ダークブラウン)」の2足です。
ゴルフはその名の通り、元々はゴルフ用の靴として生まれた靴。
ソールにはミシュラン社と共同開発したリッジウェイソール(ラバーソール)が使われておりまして、悪路でも歩きやすいのが特徴です。
取材で飛び回る足下に最適ということで「ジャーナリストシューズ」の異名も持っています。
そんな641ゴルフについて、以下5つのポイントを深堀って紹介していきたいと思います。
- 履き心地
- サイズ選びのコツ
- 三種類の革の違い
- 雨の日履けるか問題
- ファッション的な使い勝手
履き心地
僕がゴルフを履いて初めて歩いてみたときの感想は、「まるで雲の上を歩いているみたい!」でした。
何やら嘘っぽい表現ですが(笑)
特に盛っている訳ではなく、実際に当時、友人に「雲の上みたいだよ!」とメールで感想を送っているんですよね(笑)
これには理由があって、それまで僕は革靴といえばレザーソールのローファー(ジェイエムウエストン)か、ダイナイトソールのウィングチップ(ジャランスリワヤ)しか履いたことが無かったんです。
つまり641ゴルフが僕にとって初めてのラバーソール革靴だったわけですが、それも相まってか、ラバーソール特有のなんとも言えないふかふか感に感動を覚えたのです。
ちなみにジェイエムウエストンは「修行」とも呼ばれる、とてもキツい履き慣らし期間があることで有名なのですが。
僕の場合、641ゴルフに関してはほとんど修行期間がありませんでした。
実は、サイズ選びでちょっとした工夫をしたのです。
サイズ選びのコツ
641ゴルフを購入するにあたって、僕はローファーよりも1つウィズ(幅)の広いサイズをチョイスしました。
180ローファーのマイサイズは「5D」ですが、641ゴルフは「5E」にしたんです。
理由は、店員さんから以下のアドバイスを頂いたから。
- 641ゴルフはローファーより革が厚くて馴染みづらい
- 641ゴルフはローファーとは違って紐で多少調節できる
このアドバイスを踏まえてワンサイズ上げるという判断をしたのですが、これが大正解。
足にピッタリと吸い付くようなフィット感で、「修行期間」はほとんどありませんでした。
最初に買ったロシアンカーフのモデルは、2年以上に渡り週2回程度履いていますが、緩くなってしまうことも羽が閉じきってしまう事もなく、ジャストフィットな履き心地をキープしています。
ちなみに180ローファーも非常に快適な履き心地を保っておりまして、ローファーの5D・ゴルフの5E、どちらも僕にとってジャストサイズだったようです。
180ローファーと641ゴルフのように、型が変われば当然履き心地も変わるので、靴選びの際は自分が思っているサイズにこだわりすぎず、いくつかのサイズを試着した上で最適なものを見つけていくのが良さそうです。
三種類の革、それぞれの違い
僕は180ローファーと641ゴルフ、合わせて三種類の革のモデルを持っているので、それぞれの革質の違いについても触れてみます。
ボックスカーフ
僕が持っている180ローファーはこのボックスカーフのモデルです。
革の表面は非常にきめ細かい粒子が乗っているかのような印象。すべすべした感じです。
上の写真のように、光を当てるとキラキラと宝石のように輝きます。
ロシアンカーフ
641ゴルフのブラックの方がこのロシアンカーフモデル。
非常に肉厚で、表面はサラサラ。ボックスカーフよりもパウダリーな触り心地です。
手に持つとずっしりと重厚で、多少の雨ではビクともしないタフさが感じられます。
ちなみに以前まで黒のゴルフといえばこのロシアンカーフモデルだったのですが、革の供給が難しくなったことにより現在は販売されていません。
現在販売されているブラックのゴルフは、ボックスカーフモデルとなっています。
ノヴォカーフ
641ゴルフのダークブラウンの方がこのノヴォカーフモデル。
触るとしっとりとした感じがあり、非常に柔らかい革です。油分が多く含まれていると言われています。
ボックスカーフやロシアンカーフとは全く違った風合いで、履き心地も非常にソフト。
パラブーツのシャンボードにも履き心地が似ている(?)かもしれません。
ちなみにこちらのノヴォカーフも、ロシアンカーフと同じく現在は販売されていません。
現在販売されているダークブラウンのゴルフは、ソフトカーフモデルとなっています。
個人的好みは…
どの革も好きですが、あえて一番好きな革を挙げるなら個人的にはボックスカーフですかね(笑)
初めの頃はボックスカーフとロシアンカーフの違いがあまりわからなかったのですが、ケアを重ねていくうちに、ボックスカーフの方がキラキラと光沢を帯びるようになってきて、すごく綺麗なんですよ。
ロシアンカーフやノヴォカーフのモデルはレア感こそありますが、現行のボックスカーフやソフトカーフでも(いや、むしろそっちの方が?)、革の美しさ的には満足できるかと思います。
雨の日にも履ける?
641ゴルフを雨の日にも履ける革靴として検討している人もいらっしゃるのではないでしょうか。
僕はというと、多少の雨であれば641ゴルフを履くことにしています(さすがに台風のような大雨のときは履きませんが)。
とはいえ、雨の日に履いたらちゃんと乾かしてケアをしてあげることが大事です。
僕も雨の日に履いたら、都度シュークリームでのケアはするようにしています。
そのおかげもあってか、雨でもガンガン履いていますが、今のところ目立った劣化は見られません。
この堅牢性が、ジャーナリストシューズの異名を持つ所以でもあるのかなと。
ファッション的な使い勝手
最後に、ファッション的な使い勝手について考察してみます。
641ゴルフは、個人的には綺麗目な私服に合わせるのがおすすめです。
641ゴルフのようなつま先の形を「Uチップ」と呼びますが、Uチップという型自体は元々アウトドアスポーツ向けに作られたものと言われています。
なので、Uチップは革靴の中でも比較的カジュアル寄りの部類とされています。
革靴という綺麗目要素と、Uチップというカジュアル要素がミックスされているから、これが私服のコーディネート的に使いやすくて非常に汎用性が高い。
思いっきり綺麗目寄りの靴や、思いっきりカジュアルに振りきった靴なんかだと、コーデの合わせ方によってはちぐはぐでバランスが悪くなることがあります。
しかし綺麗とカジュアルの双方の要素を持った641ゴルフのような靴であれば、バランスを崩すことなく全身を絶妙に整えてくれるんですよね。
僕は綺麗目なジャケパンスタイルにくるぶしを出して軽快に合わせるのが好きですが、意外と色んな服装にすんなり合ってくれるので、非常に重宝しています。
足下に、永遠のクラシックを
さて、ここまで紹介してきたジェイエムウエストン641ゴルフですが、実はちょっと前に大きなえぐれ傷を付けてしまうというトラブルがありました。
しかしこれだけ深いえぐれ傷を付けてしまったにもかかわらず、修理して今ではこの通り。
革靴って、こういった傷の修理やソールの交換なんかを重ねて、長く愛用していけるところが魅力ですよね。
個人的な考えですが、こうやって長きに渡り愛用していくものについては、流行モノではなく、「流行や時間を超越した、クラシックな定番」をチョイスするのが良いと思っています。
なぜなら、古いとか新しいとかの概念すら超えてしまった、いつの時代でも良いと評価され続けるような永遠のクラシックを選んでおけば、流行に関係なくいつまでも気分良く愛用し続けることができるからです。
そういった意味でも、ジェイエムウエストンのゴルフをワードローブに加えたのは本当に正解だったなと思います。
いつの時代も変わらぬ名作であることは間違いないですし、実用性も非常に高い。
僕はこの靴を、今後も末長く愛用していくつもりです。
余談ですが、以下の本でジェイエムウエストンが欲しい靴ランキング1位に選ばれておりました(180ローファーが1位、641ゴルフが5位)。
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