New「シェービングに学ぶ偏愛学」を公開

所作の再考

再考シリーズ

先月、「ティファニーのテーブルマナー」という面白い本を読みました。

若者向けにテーブルマナーを解説した本でして、あの有名なジュエリーブランド・ティファニーが1969年に出版したものです。

実はこの本を読み終わったときに、ふと思い出したことがあったんですよね。

今回はそのことについて書いてみましょう。

再考シリーズ第9弾、今回のテーマは「大人の所作(しょさ)」について。

小5の記憶

これは僕が小学5年生だった頃の話です。

季節は秋口だったでしょうか。

日が落ち始めた夕刻、僕はとある空港のレストランに居ました。

その日は旅行で、家族と一緒に空港に来ていたんですよ。

予定より早めに空港に着いてしまったので、飛行機の搭乗時刻を待つ間、時間潰しにレストランで軽く食事をすることになりました。

そのとき自分が何を食べたのかはもう覚えていませんが、向かい側の右隣に座っていた女性のことは、今でもはっきりと覚えています

年齢は30代くらい。傍にトランクを携えていたので、その方も旅行中だったのでしょう。

見た目は(若い頃の)工藤静香に似ている感じで、その女性も一人で食事をしているところでした。

人がただ食事をしているだけという何でもない光景ですが、僕は彼女に釘付けになりました

なぜなら、彼女の振る舞い・動作の一つ一つが、あまりにも美しかったからです。

姿勢・食べ方・しぐさ。その人の動作の全てが見たこともないくらい優雅だったんですよ。

それは子供の僕が見ても分かるほどでした。

とても育ちが良く、丁寧な暮らしをされている方なのだろうと、一目で分かる感じです。

彼女は食事をひと口頬張ると、こっそり微笑み、「うん、美味しい」と幸せそうに呟いていました。

なんて上品な人なんだろう…。

その一連の所作に僕はとても感動して、心打たれたのを覚えています。

所作はかく語りき

そのとき僕は子供ながらに感じとりました。

人の品性は、所作に表れるものなのだなと。

服やモノでいくら外見を着飾っていても、人の性質はちょっとした所作に表れてしまうようです。

だらしない生活をしている人はだらしない所作を、自分に自信がない人は自信がなさそうな所作を、がさつで乱暴な人はがさつで乱暴な所作をしているでしょう。

レストランの彼女はもちろん、ものすごく上質な暮らしをしているんだなという感じがしました。

所作は、服やモノなんかよりも、よっぽど印象に残るものですね(現に僕は20年以上前の光景を覚えている)。

だから僕は、空港で見かけた彼女のような、気品あふれる美しい所作ができる大人になりたいと思いました。

そういう大人こそ、本当の意味で格好いい大人だと思えたのです。

無意識の所作

僕がここで取り上げたいのは意識的な所作ではなくて、無意識的に表れる所作です。

かしこまった場ではなく普段の何気ない瞬間に表れる、姿勢・歩き方・食べ方・身のこなしのことですね。

そういう無意識の所作は、一体どうやって育まれていくものなのでしょうか。

おそらくは、幼少期の躾・置かれた環境・付き合う人々・経験した習い事・自身のセルフイメージなど、複数の要素が影響し合って形成されていくものだと思います。

それら複数の背景に紐づいて、自然に何度も繰り返し、知らぬ間に癖として身体に染み付いていくのでしょう。

問題は無意識であるが故に、残念な所作をしていても自分ではなかなか気づけないということです。

子供だったら周囲の人が教えてくれるかもしれませんが、大人だと残念な所作をしていても誰も指摘してはくれません。

あなた、所作が美しくないですよ。なんて誰も教えてくれない。

先日、街中を歩いていたら、ルイヴィトンのバッグを乱暴に振り回しながらドタバタ歩いている人を見かけて、思わず笑いそうになったことがありました。

身に付けているものと所作のイメージが、あまりにも乖離していたもので…。ちょっとルイヴィトンが気の毒に思えたのです(笑)

そういうこともあって、最近は服と同じくらい、所作にも気を配りたいなと改めて思い直しております

古書店でティファニーのマナー本が目についたのも、そういった意識があったからこその巡り合わせだったのかもしれません。

まぁ偉そうなことを言っておいて、僕もそんなに所作に自信があるわけじゃないのですが。

所作美しい大人でありたい、という想いは常に持っておきたいなと思います(結局、これがこの記事で一番言いたかったことであります)。

所作を表現する試み

実はこのブログでも、所作を表現する試みをやっております。

僕はよくこういう手元を写した写真を撮るんですが、これらは手や指先にちょっと動きをつけて、所作を切り取った瞬間をイメージして撮っているんですよ。

ただの物撮りだとありきたりな写真になりがちなんですが、そこに所作を感じさせるという要素をプラスすることで、独自性が生まれるんじゃないかと思いまして。

モルトンブラウンリネンミスト イランイラン

「所作を撮る」ってなかなか面白い試みでしょう?

ブログにこういう写真を載せるようになってからは、日常生活でもより所作を意識するようになったんですよ。

カクテルを作るバーテンダー

「今この瞬間を写真に撮ったら、どんなふうに見えるかなぁ」と考えるんで、自然と動作に意識が向くようになりました。

そういう意味では、このブログが自身の「所作見直し装置」にもなっていると言えましょうか(笑)

これは思いもしなかったブログの効用ですね。面白い。

目指すは「美しい所作が垣間見えるブログ」。引き続き精進してまいりたいと思います。

コメント

  1. KOH より:

    所作を撮る…その意識があるからこそ
    MINIMALOGさんのお写真、
    惹かれるものがあるのですね!

    ティファニー本コメントの続きではないのですが…
    バリスタさんやバーテンダーさんの所作を見て
    自分もその場に見合う所作を無意識に自然に
    振る舞いたいと感じるようになりました。
    服もだいぶ自分の中の偏愛が揃ってきましたが
    立ち振る舞いも含めての本人の雰囲気だと思うので
    服と同じ位大事、わかりみが深いです。
    外見ばかりでなく中身も精進したいですね。
    …常に”余白”のある落ち着いた所作で素敵漂う大人になりたい笑

    • MINIMALOG(ミニマログ) ミニマログ|偏愛ミニマリスト より:

      >KOHさん
      ご返信遅くなりすみません〜!
      ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!!

      バリスタさんやバーテンダーさんの所作、良いですよね。
      凄腕の人は細かい所作まで洗練されていて、見惚れてしまいますよね〜。

      気持ちの余裕も大事かもですね。
      勝手なイメージですが、KOHさんは綺麗な所作をしている印象です!(笑)

      • KOH より:

        ミニマログさんにそういった印象を
        持っていただけてるとは光栄です!

        気持ちの余裕…これ結構肝かなあと思ってます。
        自分の性格だと特に笑
        上品にいこう等と頭で思いすぎると
        ぎこちなさが出てしまう気がして…

        それはそうと珈琲カクテルのセミナーを
        今月末受けに行くことにしました。
        去年お邪魔した珈琲カクテルのイベントに
        参加していたBARが、今年のイベントの昼帯に
        セミナーすると聞いて居ても立っても居られず笑

        • MINIMALOG(ミニマログ) ミニマログ|偏愛ミニマリスト より:

          >KOHさん
          「余裕を持って生きる」は1つのテーマになりそうですね!

          珈琲カクテルいいですね〜!
          僕は最近、ノンアルコールカクテルのようなものを色々作っているのですが、
          珈琲カクテルにも挑戦してみたいです!
          ミスターブラックというコーヒーリキュールが結構好きです!