10年後も手放さない、お気に入りアイテムを語るこのシリーズ。
第6回目は「ロシアンカーフキーリング」について。
ロシアンカーフと言えば、海底に沈む沈没船から発見されたという幻の革。
存在は知っていたものの、非常に希少な革なので一生手にすることはないだろうと思っていました。
ところが幸運にも、Twitterがきっかけで入手することができました。
海底に200年間眠っていたロシアンカーフ
ロシアンカーフのざっくりとした説明は以下の通り。

イギリスのプリマス湾に、ヘンプ等と一緒に海中に1786年に沈没したポーランド船 “メッタカタリナ”から引き揚げられた200年以上前に鞣されたロシアのトナカイの革です。
引用元:カビリアの靴 https://cabiria.shopselect.net/items/24175351
船が沈没してから約200年後の1973年に、ある考古学チームがこの沈没船を見つけ、調査してみたところこの革が発見されたとのこと。
ロシア革命と共に鞣しの技法が消滅した為、現在再生不可能となっております。
引用元:カビリアの靴 https://cabiria.shopselect.net/items/24175351
技術の伝承が途絶えた為、もう作ることができないという…。
まるで「失われた秘宝」みたいなストーリーですよね。ロマンしか感じません。

1973年に発見されたとき、革はきつく束ねられ、硬い草を編んで作ったマットに包まれていた。長年のうちに、マットの大部分が分解していたために(なお、もうひとつの積み荷である麻は、完全に溶解していた)、外側の革の多くは状態が悪く、触れると濡れた紙のように破れるものもあった。それでも、まだ使用できる革がいくつか回収された。
引用元:THE RAKE https://therakejapan.com/issue_contents/skin-deep/3/
引き揚げられた革の中でも、まだ使用できる部分が回収され、市場に出回っているということになります。
今では「ロシアンカーフを再現した革」を使った商品も多く存在しますが、沈没船から引き上げられた「オリジナルのロシアンカーフ」は量も限られているので非常に希少であります。
Twitterで在庫情報を入手
そんな貴重なロシアンカーフのアイテムを入手できたのは、こちらの茶本さんのツイートがきっかけ。

最初は何だかよく分からなかったんですが、よく見たらロシアンカーフではありませんか!
すかさず「お持ちなんですか!羨ましい!」とコメントしたところ、これはカビリアの靴さんで販売されているもので、ラスト1個在庫が残っている(!)ということを教えて頂きました。

ロシアンカーフを再現した革かと思ったら、まさかの本物。購入を即決しました。
僕は複数の鍵を持ち歩いているので、キーホルダーは必須アイテムなんですね。

実はそのとき使っていたキーホルダーがボロになってきていたということもあって、新しいキーホルダーを探していたので、非常にナイスなタイミングでありました。
ロシアンカーフキーリングの全容

こちら商品の正式名称は「1786 Coinholder Keyring」と申しまして、500円玉を2枚入れておけるコインホルダーの機能を持ったキーホルダーです。
中でもラスイチで残っていたこれは、表裏共にロシアンカーフで作った特別仕様とのこと。
革

表には沈没船を象徴する1786の刻印。
革にはロシアンカーフ特有の斜線の網目模様がついています。

こちら裏面。多少のシミ(?)があるんですが、それがまた海底に沈んでいたことをリアルに物語っているかのようです。
内側

内側はホックがついており、このように開閉できます。
ホックの周辺には切れ込みがあり、そこに500円玉2枚を忍ばせることができる仕様。

僕は普段現金を持ち歩かないので、いざという時のためにコインを入れておけるのは、ちょっとしたお守りにもなって素敵です。この機能はめちゃくちゃ気に入っています。
匂い

ロシアンカーフと言えば、その匂いも特徴的と言われています。
だいぶ時間が経過しているからか、そこまで強い匂いは感じませんが、よく嗅いでみるとレザーの独特の香りを感じることができます。
美術史家のソフィー・ムーカンはこのロシアンレザーについて、「強い香りの中国紅茶ラプサン・スーチョンと葉巻、ピートの香りたつウィスキーの混じり合う、ほかに二つとない独特の匂いを放つ」と語っています。
引用元:HERMES https://www.hermes.com/jp/ja/story/192516-volynka-russian-leather/
たまに嗅ぎたくなっちゃう不思議な香り(笑)
使い勝手

コインホルダーということもあって、こんな感じでデニムのコインポケットにぴったり収まります。
手ぶらで出かけたりするときなんかはこうして持ち歩けるんで、キーホルダーとしてものすごく使い勝手が良いです。
金具部分はネジ式で取り外し可能で、シンプルで壊れにくそうな作り。

本体や金具部分ともに大きさが何とも絶妙でして、手に持ったとき収まりが良くてすごく気持ちいいんです。もうずっと手に持っていたいくらい。
ロシアンカーフはもちろん凄いんだけど、純粋に商品としての完成度も非常に高いと思います。こんな素敵なアイテムを作ってくれるなんて、制作者の方に本当に感謝したいです。
ちょっとした感動体験
このキーホルダーを購入したカビリアの靴さんの対応が素敵すぎました。
まずキーホルダーにはオリジナルの証明書が付属しており、まる革(トナカイの革一頭分)のどの部分が使われているかが記載されています。

こういうの、嬉しいですよねぇ。
そして何と、こちらも同梱されていました!

クロコダイルのポケットシューホーンです!

これは買ってないよ!?
一緒に手紙も入っておりました。
発送が遅れてしまい申し訳ありません。ポケットシューホーン(クロコダイル)同梱します。ご愛用いただけたら幸いです。
…泣いた。
お店がゴールデンウィークでお休みのときに注文したので、確かにその分発送は遅れたのですが、十分早かったです…!

神対応すぎました。一瞬でファンになりました。
カビリアの靴さんは注文靴の専門店なので、いつかビスポークシューズお願いしようかなぁ。
伝説を所有するということ

ロシアンカーフキーリングの魅力は、偏愛アイテムvol.2でも取り上げた114年前のアンティークシューホーンとも通ずるところがあります。
悠久の時を越えて手元に来たアイテムには、ある種の畏敬の念も感じます。
何というか、時を越えてきた分、重みが違う。
これらのアイテムを愛でながら当時の情景を想像してみるというのも、何ともオツだなと。これは現代の新品にはできないことです。
しかも、それらが日常使いできるアイテムという点もポイントです。道具は使ってなんぼですし、使う度に良い気分になれますから。
日常使いのアイテムが、伝説級。
ロシアンカーフキーリングはこれからも使う度に、何ものにも代え難い喜びを与え続けてくれると思います。
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