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2023年4月読んでよかった本【書く人の教科書、AI講義など】

2023年4月読んでよかった本【書く人の教科書、AI講義など】 読書シリーズ

毎月、読んで良かった本をピックアップして紹介していくこの企画。

今回は2023年4月に読んだ本の中から、読んで良かった4冊をご紹介します。

良いコンテンツとは何かについて考えさせられ、終わったと思っていたシリーズものが終わっていなかったことに歓喜し、AIの歴史と仕組みを学んだ月でした。

取材・執筆・推敲――書く人の教科書

取材・執筆・推敲――書く人の教科書

問題は、オウンドメディアを筆頭に、専業の——あるいはプロと呼べる——編集者を持たないメディアが急増していることだ。一般にウェブディレクターと呼ばれる彼らの多くは、アクセスデータを読むことはできても、編集ができない。進行管理はできても、編集ができない。そのため、つくられるコンテンツの多くは「いま流行っているもの」や「最近数字がとれたもの」の後追いになってしまう。残念ながら世のなかにあふれるコンテンツの質、その平均値は明らかに減退している。

引用元:取材・執筆・推敲――書く人の教科書

プロのライターや編集者とはどうあるべきか価値あるコンテンツとは何なのか、ということについて著者の考えがまとめられた本。

著者は有名な「嫌われる勇気」などのライターである古賀史健氏です。

細かいテクニックより、考え方の基本原則が整理されてまとめられている感じでした。

個人的には、

  • コンテンツの基本構造
  • デパート理論
  • 比喩の作り方

あたりの話は興味深く、タメになりましたね。これからコンテンツ作りに活かしていきたいです。

まぁ、僕もコンテンツ作りに対しては独自の考えを持っているので、一部「そうかなぁ?」と首を傾げてしまうところもありましたが、全体的に見れば学びが多かったです。

「良いコンテンツとは何か」について上手く言語化されているので、ライターはもちろん、仕事でコンテンツ作りに携わっている人や育成に携わる人、ブロガーなどにとっても多くの気づきが得られる本ではないでしょうか。

χの悲劇 & ψの悲劇

χの悲劇 ψの悲劇

「難しいところですね。人間って、存在しなければならないのかな」私は言った。それは、自分へ跳ね返ってくるテーマにほかならない。「人間は、コンピュータを作った。これが、つまりは人間の進化であって、もう前世代の人間は、役目を終えたのかもしれません」

引用元:ψの悲劇

先月の読んで良かった本まとめで「森博嗣のGシリーズ読み終わった〜」とか言ってたんですが、調べてみたら実はまだ続きがあったことが判明(笑) それがこの2冊です。

Kindleで買った合本版は9冊セットだったんですが、これに含まれていない10冊目と11冊目があったんですよねぇ。

χ(カイ)の悲劇からは話が急展開していく感じで、めちゃめちゃ面白かったです。貪るように本を読み進めました。

ψ(プサイ)の悲劇のラストは衝撃的すぎて…。戦慄を感じ背筋がゾワっとしました。次はどうなっちゃうのこれ。

今まで読んできた森博嗣作品の中では、個人的に「笑わない数学者」がすごく印象に残っていて好きだったんですが、ψの悲劇はそれと同じくらいのインパクトがありましたね。

このGシリーズですが、まだ完結しておらず、次の巻がラストの模様。

発売日未定ですが、今から本当に楽しみです。

教養としてのAI講義 ビジネスパーソンも知っておくべき「人工知能」の基礎知識

教養としてのAI講義 ビジネスパーソンも知っておくべき「人工知能」の基礎知識

だが、ホフスタッターの恐怖は、まったく違うものに対してだった。 AIが度を超えて賢くなる、侵略的になる、有害化するといったことでも、あるいは役に立ちすぎるということにでもなかった。彼が恐ろしくなったのは、「知性、創造性、感情、あるいは意識そのものさえ、あまりに簡単につくれるようになるのではないか」「自分が人間性で最も大切だと思っていたものが、『便利なツール』にすぎなくなってしまうのではないか」「うわべだけをまねるしらみつぶしのアルゴリズムが、人間の精神を解き明かせるようになるのではないか」ということに対してだった。

引用元:教養としてのAI講義 ビジネスパーソンも知っておくべき「人工知能」の基礎知識

最近、仕事でAIを使った新しい業務フロー構築に取り組んでいたり、森博嗣のψの悲劇を読んだりした影響で、人工知能の歴史や仕組みに興味が出てきたんで読んでみました

実は会社の人に「AI関連でおすすめ書籍ないですか?」と聞いてみたところ、「変化が早い分野だから本よりYouTubeがいいよ」と言われまして、本じゃなくて動画をおすすめされていたのですが。

動画を観てもAIに関する体系的な知識は得られなかったので、本を読むことにしました。

僕が知りたい(考えたい)のは、「ChatGPTで出来ることはこれだ!」みたいな活用術系の小話ではなく、「AIってどう発展してきたのか」とか「どういう仕組みで動いているのか」とか「どういう理屈で、これからどう進化し得るのか」みたいな、一歩踏み込んだ内容だったんですよね。

この本を読んで「やっぱり、ちゃんと調査・取材されてまとめられた書籍ってスゲー!」となりました。動画と比べて、中身の濃さがあまりにも違いすぎた。

まさにこういうことが知りたかったんですよ。

途中で機械学習、深層ニューラルネットワークの画像認識の仕組みなど技術的な話も出てくるのですが、解説がわかりやすいんでスルッと理解できました。

一つ残念なポイントは、こんなに素晴らしいなんだから、もうちょっと本のタイトルは工夫できなかったのかな、ということです(笑)

「教養としての○○〜」ってありきたりなテンプレタイトルなんで、初めて見た時はよくある中身のない薄っぺらい本かと思いました(スルーせずに一応中身を見てみて本当に良かった…)。

ちなみに英語版のタイトルは「Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans」、直訳すると「人工知能: 人間を考えるためのガイド」。

これは英語版のタイトルの方が、断然内容にマッチしていますね。

この本は単なるAI解説本ではなく、「そもそも知能ってなんだろう?」「人間らしいとはどういうことだろう?」みたいなことを考えさせられる良書でした。

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