毎月、読んで良かった本をピックアップして紹介していくこの企画。
今回は2020年9月に読んだ本の中から、特に面白かった3冊(+おまけ1冊)をご紹介します。
読書は毎月なんとなくテーマを設けていまして、9月はアートと植物関連の本を中心に読みました。
ギャラリーフェイク
アートを題材にしたヒューマン漫画。
美術の勉強にもなる漫画って何か無いかな〜と探していたところ、「この本はストーリーがおもしろく、美術に関する知識も得られてお得」という口コミを見かけて、読み始めてみました。
読んでみると、まさに口コミの通り。
ストーリー展開が凝っていて、純粋に物語として面白いです。美術に詳しくなくても楽しめました。
美術・芸術・骨董などの歴史的背景の解説も随所に散りばめられていて、読み進める度に色々と勉強になりそうな予感。
この漫画は一気読みするというより、じっくり味わいながら読みたい気分です。
全部で34巻まであるんで、これから毎月1〜2冊ずつ程度ゆっくり読んでいこうと思っています。
叢 小田康平の多肉植物
僕がサボテンにハマるきっかけとなった、叢(くさむら)さんの写真集。
店主の小田さん選りすぐりの「いい顔してる植物」が48点収められています。
見開き1ページで1つの植物が紹介されており、左に全体の写真、右側に特徴的な部分を接写した写真が掲載されています。
特に接写の方は大迫力で、植物の姿をつぶさに観察できます。
写真がとても美しく、まるで実際にその植物が目の前にあるかのような錯覚を覚えるほど。
この本は縦長でちょっと変わった形だなと思ったのですが、中身を見て納得しました。
接ぎ木して背の高くなった植物の姿を、ダイナミックに表現できるのがこの形だったのですね。
写真集なので大半のページは写真のみで構成されていますが、巻末には14ページ程に渡って、解説と店主のインタビューが載っています。そして、これがまたとんでもなく心打たれる内容。
「いい顔してる」の本当の意味だったり、叢さん流の植物の見方などが解説されていて、とても濃密で惹き込まれるお話でした。
正直、この巻末部分だけで、本の価格以上の価値があると感じます。これを読めて本当に良かった。
写真集って一度見たら終わりのものも多いので、実はこの本買っていいのかどうかちょっと迷ったんですよね。
でもその心配は杞憂でした。
この本は、これからも何度も見返すと思います。
シャボテン幻想
作家でサボテン研究家の龍胆寺雄(りゅうたんじゆう)さんの随想集。1974年に刊行された、わりと古い本です。
古代のサボテンの話から、著者の身の回りで起こったサボテンにまつわる不思議エピソードまで、とにかくサボテンにまつわる話がつらつらと書き綴られています。
昔の本で文章がちょっと読みづらいところもありますが、トリビア的な話も多くて、楽しく読めました。
著者のサボテンへの溢れ出る偏愛っぷりが伝わってきましたね。
ちなみに、昔は「サボテン」を「シャボテン」と表記することもあり、この本もシャボテンと表記されています。
日本には16世紀後半に南蛮人によって持ち込まれたのが初めとされている。彼らが「ウチワサボテン」の茎の切り口で畳や衣服の汚れをふき取り、樹液をシャボン(石鹸)としてつかっていたため「石鹸のようなもの」という意味で「石鹸体(さぼんてい)」と呼ばれるようになったとする説が有力であり、1960年代までは「シャボテン」と表記する例もあった。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/サボテン
石鹸のようなもの → 石鹸体(さぼんてい) → シャボテン → サボテン、という流れなんですね。
サボテンの語源が石鹸だったなんて、ちょっと意外でしたねぇ。
おまけ:カクタスハンドブック 原種サボテンを楽しむ
原種サボテンにこだわった、サボテンガイドブック。
「原種」とは、原産地で見つかって、現地に生えていて、かつ植物分類学者により固有の植物と分類されたもののことです。
最初に読んだ時は原種が何かも分かっておらず、「ふ〜ん」という感じで軽く流し読みで終わったのですが、最近またこの本をよく読み返すようになりました。
原種がぱっと探せるのが便利で、とても重宝しています。
基本的な栽培方法だけでなく、トゲや品種に関する詳細解説、サボテン界の偉人、サボテンの名著など、他にはない切り口で情報がまとめられている点も素晴らしい。
改めて読み直すと、情報の充実度と独自性が高いなぁと感じさせられます。
この本は熟読するというよりも、パラパラと辞書的に参照して使うことが多いので、おまけということで取り上げました。
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