日本利器工業さんからお声がけいただき、4つの製品を実際に使わせていただく機会をいただきました。
ご提供いただいたのは以下4種の製品です。
- NIKKY クラシックダブルホルダー
- NIKKY 両刃替刃
- [新製品] やさしいカミソリ
- [新製品] SHAVE&CLEAR
今回はこれらの使い心地や印象について紹介していきたいと思います。
日本で初めてカミソリの製造を開始した企業

世界には多種多様なカミソリ替刃が存在していまして、僕は以前、世界中のカミソリ替刃151種類を一気買いしたことがありました。
一部の特殊な刃を除いてほとんどの替刃はステンレス製なんですが、世界で初めてステンレス製のカミソリ刃を開発した企業が、実は日本の企業だということはご存知でしょうか?
それが今回紹介する日本利器工業。
創業150年の歴史があり、
- 世界初のステンレス製カミソリの開発
- 日本初のプラスチックハンドルを採用したカミソリの製造
- 日本初のガード付刃の開発
などを行ってきた、カミソリのパイオニア的存在の企業であります。

80年程前に資生堂の傘下に入り、資生堂の専属工場として活動されているため、社名は業界外にはあまり知られていないとのこと。
かく言う僕も知らなくて、ステンレス製カミソリは海外で生まれたものかと思っていたので、開発したのが日本の企業と知ってビックリしました。
まさかの提案

これを知ったのは、日本利器工業さんからご連絡を頂いたのがきっかけです。
日本利器工業さんにクラシックシェービングの記事を偶然見つけていただき、「カミソリを試してみませんか?」とご提案を頂いたんですよね。

驚いたのは、これがよくある製品レビュー依頼ではなかったという点です。
こんな感じでメールを頂きました。
こちらはレビューをお願いするものではございません、単純に私からカミソリ好きの仲間へのプレゼントとしてお考え下さい。
ミニマログ様の経験と興味の一部となれましたら幸いです。
(一部抜粋)
たまに企業さんからご連絡を頂くことはあるんですが、レビュー依頼ではないというパターンは初めて!
「カミソリ好きの仲間へのプレゼント」という言葉にグッと来ました。純粋にクラシックシェービングの記事に共感いただけたということで、とても嬉しかったです。

なので、この記事は依頼されて書いているのではなく、僕が勝手に書いております(笑)
一応、日本利器工業さんにブログで紹介して良いか聞いてみたところ、「忖度なく自由に書いてOK」とお返事いただけましたので、この記事を書いている次第です。
4つのアイテムをそれぞれ使ってみた
それではさっそく、提供いただいた製品を使ってみた感想を紹介していきたいと思います。
NIKKY クラシックダブルホルダー

まずはこちらの両刃カミソリホルダー。
日本利器工業さんは女性用カミソリの製造がメインらしいのですが、こういった両刃カミソリも製造されています。

材質は真鍮クロムメッキ。色はシルバー・ブラックシルバー・ブロンズがあって、今回使用するのはシルバーです。
重さは刃を装着した状態で約64グラム。僕が持っている両刃カミソリの中では最も軽量ですが、軽すぎるということはなく、程よい重みが感じられます。

バタフライ式になっていて、柄の先端を回すと上部が開閉し、ここに両刃替刃をセットする仕組みになっています。


実際にこれで髭を剃ってみたところ、最初は全然剃れなくて焦りました。いつものように剃ろうとしても、刃が髭に突っかかってしまい全然剃れないのです。
「おかしいなぁ」と思い刃先をよく観察してみたところ、僕がいつも使っているMÜHLEのROCCAやRex Supply Co.のKonsulと比べて、刃の角度が全然違うということに気がつきました。

この角度だと、いつもと同じ感覚で剃ろうとすると刃が立ちすぎて突っかかってしまいます。
つまり、NIKKY クラシックダブルホルダーを使う際は、いつもよりも刃を寝かせる感じで角度をつけて剃らないといけなかったんですな。

これに気づいてからは、よく剃れるようになりました。
感想としては、「僕が持っている他の海外製のホルダーよりも、安全に剃れる」といった印象です。
剃るときはヘッドの上部を肌に沿わせるようにとにかく刃をガッツリ寝かせちゃえばよく、シビアな角度調整は不要。
もちろん両刃カミソリなのである程度慣れは必要ですが、コツを掴むのは他の海外製のホルダーよりも簡単なんじゃないかなと思いました。

また、意外なところで違いを感じたのは、髭を剃るときの「音」です。
MÜHLEのROCCAの場合は、チリチリと澄んだ高音の美しい響きがします。一方、NIKKY クラシックダブルホルダーの場合は、ショリショリと低音の響きがします。
同じ替刃を使っても明らかに音が違っていて、これはおそらく形状と材質の違いによるものでしょう。

そもそも価格帯が全く違う(MÜHLEのROCCAは5倍くらい高い)ので、比較するのはよくないと思いますが、より良い音が鳴るのはMÜHLE ROCCAの方。こんなところに違いが表れるのかと、面白い発見をしました。
とはいえこれはもうマニアックな領域の話なので、日本で入手しやすく、しっかりした作りで安全めに剃れる両刃カミソリが欲しいという場合には、NIKKY クラシックダブルホルダーが良い選択肢になるのではないかと思いました。
サイズがコンパクトで程よい重さなので、旅行に持って行く用として使うのもいいかもしれないですね。
NIKKY 両刃替刃

お次はNIKKY 両刃替刃。
この替刃の面白いところは、この独自ケースです。

利便性を重視し、親指でワンアクションでスライドして刃を取り出せるケースを自社開発されたとのこと。


刃には島根県安来市・プロテリアル(旧:日立金属)製の国産鋼材が使用されており、このNIKKYに使われているのはGIN5(ハイカーボンステンレス鋼)です。

コーティングはクロムとプラチナを蒸着し、その上にテフロン系コーティングが施されています。
安全性を重視してやや厚めにコーティングされているとのことで、実際に使ってみると、鋭さよりもマイルドさを感じました。
「初回使用時よりも2回目以降の方が切れ味が増す傾向が強い仕様」とのことですが、確かに2回目以降の方が切れ味が増しているような感覚があります。

初回の使用感がマイルドなので、個人的には「髭が細い人」や「髭が柔らかい人」に良いんじゃないかなと思いました。
NIKKY クラシックダブルホルダーもNIKKY 替刃も、かなり安全めに振っている印象があるので、この2つを組み合わせると非常にマイルドな使用感になります。
できるだけ安全に両刃カミソリに挑戦してみたい!という場合に良い組み合わせかもしれないですね。
僕は髭が硬め&それなりにクラシックシェービング歴があって慣れているので、正直なところ替刃にはもう少しシャープさが欲しいところです。

逆に言えば、鋭さよりも安全性を求めたい人にはハマる可能性あり。
Rockwellなど、あまり攻撃的ではなく少しマイルドめな替刃との相性が良い人は、NIKKY 両刃替刃がしっくりくる可能性アリです。
「やさしいカミソリ」と「SHAVE&CLEAR」
両刃カミソリから変わって、お次はプラスチックハンドルがついたカミソリ2種です。


この2つは昨年末に発売された、日本利器工業の自社ブランド製品。
Amazonや楽天では売っていないみたいなんですが、日本利器工業のオンラインサイトで購入できます。
「肌にやさしく、究極の安全性を追求して開発した」とのことで、新開発された刃が使われている点が特徴です。
刃先をよーくみると、極細の安全ワイヤーガードが付けられており、刃と肌が直接触れない構造になっています。ちなみにこのワイヤーガードは世界最小幅とのこと。

引用元:https://riki-official.jp/pages/product-gentle-razor
横滑りしても安全で、なんと風船の表面を剃っても割れないらしい。
実はこういったプラスチックハンドルタイプのカミソリを使うのは初めてだったのですが、使ってみると気に入りました。
眉や目の付近、首筋のうぶ毛など、両刃カミソリでは剃りにくい場所にめちゃくちゃ使えます。

初めて使うので、最初は上手く使いこなせなかったものの、すぐにコツは掴めました。しっかりと張り手をして、肌を張って刃を滑らせるのがポイントですね。
ワイヤーガードが付いているので両刃カミソリほど慎重にならなくて良く、目元とかも安心して使えるのがいいですねー。
「やさしいカミソリ」と「SHAVE&CLEAR」は、両方とも使われている刃は同じです。
しかし個人的にめちゃくちゃ面白かったのが、同じ刃が使われているにも関わらず、使用感は異なるという点です。

僕は断然「やさしいカミソリ」が使いやすいと感じました。不思議ですね。
「やさしいカミソリ」の方はほんのり湾曲した柄の部分が持ちやすく、指先で押さえる部分に溝があるのでグリップが効きます。
手触りも滑らかで、使っていて気持ち良い感じ。

同じ刃を使っているのに、質感や形状でこんなに使用感が変わるんですね。ホルダーも奥が深いです。
個人的には眉や目の付近用として、今後やさしいカミソリを常備して使っていきたいと思っています。今後Amazonで買えるようになるといいなぁ…。
使い比べてわかった奥深さ

今回いくつかの製品を使い比べて、カミソリの世界の奥深さを改めて感じました。
形状、材質、コーティング、重さなど、わずかな違いが使い心地を大きく左右します。
こういう色んな要素の組み合わせで製品が形作られているわけで、ものづくりの奥深さと探求の面白さを改めて実感しました。
このような機会を提供いただいた日本利器工業さんには、改めて感謝いたします。

クラシックシェービングを始めてから、今までずっと海外製品を使っていたのですが、これからは日本の製品も使っていきたいなという気持ちになりました。
シェービングの奥深き世界を、引き続き探求していきたいと思います。
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