毎月、読んで良かった本をピックアップして紹介していくこの企画。
今回は2023年6月に読んだ本の中から、読んで良かった3冊をご紹介します。
仕事でAI系のプロジェクトをやっていることもあり、AI関連の書籍を中心に読んでおりました。
WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論
マーシャルは「懸命に打ち込む仕事、何か克服すべき困難というものがなければ、人はあっという間に堕落する」と主張し、「労力を要する活動は心身の健康に必要だ」と述べた。マーシャルにとって、仕事とは収入だけでなく、「人生の充実」を得る手段でもあった。
引用元:WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論
技術革新によって仕事が減った未来を見据え、対策を提言している本。
最近「AIに仕事が奪われるかも…」みたいな話をよく耳にしますが、まさにその話です。
経済学者が書いた本って久しぶりに読んだんですが、産業革命などの歴史から、仕事が減っていくメカニズムまで丁寧に解説されていて、めちゃくちゃ勉強になりました。
ちょっと前に読んだ「教養としてのAI講義」は「人間はAIにそう簡単に代替されるものではない」というスタンスで書かれた本でしたが、本書は逆で「代替されて仕事はグッと減る」というスタンスで書かれています。
読み比べてみると面白いですが、個人的には本書の方が「確かに…」と思わされる部分が多かったですね。
ただ不安を煽って終わりではなく、では具体的にどう対処していくべきかについて論じられているのが本書のキモ。
大きな政府論というタイトルの通り、後半にかけて政府はどうすべきかといった話に繋がっていきます。
政府論が仕事に直接関係あるわけじゃないんですが、こういう本を読むとちょっと視座が上がって良いですね。
ChatGPTプロンプト逆引き!API活用ガイド
プロンプトは具体例を丸暗記するのではなく、作成のコツを抽象化して理解することが重要です。
引用元:ChatGPTプロンプト逆引き!API活用ガイド
ChatGPT関連の書籍もいくつか読んでいるんですが、中でもこの本は他の本には書かれていない1歩踏み込んだ内容まで解説されていて面白かったです。
タイトルを見て最初は「ただの事例集みたいな本かな〜」と思ったんですが、読んでいくとGPTの概要から使いこなしのコツまでかなり詳し目に書かれていました。
- GPTが高性能を獲得できた理由
- DAIR.AIのプロンプトエンジニアリングガイド
- Zero-ShotやFew-Shotなどのプロンプティングテクニック
- Temperatureやtop_pのパラメータ
などは、この本を読んで初めて知りましたねー。普段からChatGPTを使っている人でも、結構目から鱗なんじゃないでしょうか。
僕は今、仕事で生成AIを使った新しい仕組みづくりに携わっていますが、本書の知識をがっつり活かしながらプロジェクトに取り組んでおります。
「思考」を育てる100の講義
「もっと意味のあることをしよう」と言えば、なんとなく前向きな感じがするが、でも、僕は、常々、「もっと無意味なことがしたい」と憧れている。
引用元:「思考」を育てる100の講義
森博嗣さんの100の講義シリーズの第2巻。
2年ほど前に電子書籍で買っていたんですが、そのまま忘れて積読状態になっていました(こういうのたまにあるので反省…)。
物事の捉え方・考え方に関するエッセイですが、さすが森博嗣さん。めちゃくちゃ捻くれているなぁ(褒めてます 笑)
100個のミニエッセイがまとめられたような本ですが、後半にいくにつれて「それってもう『思考を育てる』と関係ない話なのでは…」と思うものも多々出てくる感じでした。
それでも、随所に記されている物事の捉え方に色々と刺激を受けます。
この頃は、食べやすいものが好まれる傾向にあって、多くの作品は、どれもマイルドで刺のないものになっている。そうやって面白くないものになっていく。テレビドラマがそうだ。文句を言われたくないから、自分たちで勝手にタブーを作り、過激さを排し、新しいものには躊躇する。
引用元:「思考」を育てる100の講義
僕の身の回り(職場)は、良くも悪くも「マイルドな大人」が多いです。みんな、優しく素直な優等生といった感じでしょうか。
だからこういう偏屈なおじさんが書いた「ちょっとスパイシーな本」を読むと、普段は触れることがない新しい考え方に触れることができ、自分の視野がちょっとだけ広がる感じがします。
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