New「クラシックシェービングの結論」を公開

クラシックシェービングの結論|1年間続けて会得したコツとテクニック

クラシックシェービングの道具 クラシックシェービング

クラシックシェービング(両刃カミソリを使ったヒゲ剃り)を始めて1年が経過しました。

最初は慣れない手つきで剃り方を試行錯誤していましたが、さまざまな道具やテクニックを試すうちに、今では自分なりのシェービング方法を確立することができました。

市販のカートリッジ式カミソリと比べてクラシックシェービングはコストが抑えられるだけでなく、剃る行為そのものを楽しめるという魅力があります。

今回は、1年間の経験を通じて学んだコツやテクニック、クラシックシェービングの面白さについて紹介していきます。

精神的なメリットも大きいクラシックシェービング

クラシックシェービングのメリットとして、ランニングコストが安いといったことや肌に優しいといった点がよく挙げられます。

確かに、替刃のコストはカートリッジ式カミソリと比べて圧倒的に安く、上手く剃れれば肌への負担も軽減されます。

しかし、実際に続けてみると、それ以上に精神的なメリットも大きいことに気づきました。

クラシックシェービングの道具

クラシックシェービングには、スキルを磨く楽しさ自分に合った道具を探す面白さなど、趣味的な要素があります。

そういう要素のおかげで、髭剃りという作業が楽しい時間に変わりました。

髭剃りが単なるルーティンではなく、趣味として楽しむ時間に変わったので、なんだか毎日得した気分になるんですよね。

このように「日常に楽しい時間が増える」というのも、クラシックシェービングの見逃せないメリットだと感じています。

1年続けて会得したシェービングテクニック

僕が1年間試行錯誤して辿り着いた、クラシックシェービングテクニックを紹介したいと思います。

一般的に紹介されている王道のやり方とは少し異なりますが、僕の場合はこの方法が最も快適で効率的に剃れます。

使用アイテム

クラシックシェービングにはさまざまな道具がありますが、僕がメインで愛用しているのは以下のアイテムです。

その日の気分で、これらの組み合わせを変えて楽しんでいます。

シェービングの流れ

クラシックシェービングの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 洗顔:お湯で顔を洗い、髭を柔らかくする+肌を清潔にする。
  2. プレシェーブ剤塗布(オプション):肌のコンディションや髭の硬さに応じて、剃りやすくするために塗布する。
  3. ラザリング(泡立て):適切な水分量でソープを泡立てる。
  4. 泡の塗布:泡を髭に乗せ馴染ませる。
  5. シェービング:斜め剃り→逆剃り→タッチアップの順で剃る。
  6. 泡を洗い流す:泡を洗い流し、冷水で肌を引き締める。
  7. アフターシェーブ:バームで肌を保湿する。

1. 洗顔

ファーストステップは洗顔です。洗顔をすることで髭が水分を含んで柔らかくなり、剃りやすくなります。

また、これは僕の仮説ですが、洗顔で余計な皮脂を落とすことで髭がより水分を含みやすくなるのではないかと思います。

昔はぬるま湯のみの洗顔を実践していたことがあるんですが、今は日焼け止めを塗るようになったので、普通に洗顔剤を使うようになりました。
使っているのはラロッシュポゼのフォーミングクレンザーです。

髭を柔らかくするために「蒸しタオルで蒸らす」という方法もありますが、手間がかかるため、僕はお湯で顔をしっかりと洗うだけにしています。

このとき、次の「ラザリング」工程でアナグマ毛などのシェービングブラシを使用する場合は、ブラシをお湯に浸けてしっかり吸水させておくと良いでしょう。

人工毛のブラシを使用する場合は、吸水の必要はありません。

2. プレシェーブ剤塗布(オプション)

オプションですが、髭の蒸らしが足りないと感じる場合は、洗顔後にプレシェーブ剤を塗布すると効果的です。

僕が使っているのはCella Milanoのジェルタイプのプレシェーブ剤です。

プレシェーブ剤の量目安
使用する分量はこれくらい。洗顔して顔が濡れた状態のときにつけるので、伸びが良く少量でOK。

日本で手に入りやすいものだとPRORASOのプレシェーブ剤などがあります。

ゆっくりと時間をかけて洗顔すれば髭も十分に柔らかくなりますが、忙しい朝などで短時間しか洗顔できない場合、髭が硬いままで剃りづらくなることがあります。

そういったときにプレシェーブ剤を使用すると、快適に剃ることができます。

3. ラザリング(泡立て)

シェービングソープを泡立てます。

シェービングソープの種類はさまざまですが、海外のブランドの方が圧倒的に選択肢が豊富なので、Maggard Razorsなどの海外ネットショップで購入するのもおすすめです。

泡立てる方法には大きく分けて2つのやり方があります。1つはボウルなどで泡立てる「ボウルラザリング」、もう1つは顔の上で直接泡立てる「フェイスラザリング」です。

僕はボウルラザリング派で、ラザリング専用のボウル温かい泡を作ることができるシェービングスカットルを使用しています。

泡立ての際には、まずソープをヘラなどで適量すくい取り、ボウルに移します。僕が使っているのは燕振興工業のバターナイフ。

取るソープ量の目安は人差し指の第一関節分くらいです。

シェービングソープの量目安

ソープをブラシに取る方法として、直接ソープの容器にブラシを突っ込むやり方もありますが、個人的には衛生面の観点からおすすめしません。また、ソープを乾燥させるために蓋を開けっぱなしにすると香りが飛ぶ原因にもなるため注意が必要です。

泡の質感は加える水の量によって大きく変わります。

最初に水を多く含ませたブラシで泡立てると、水分過多で失敗することがあるため、ブラシはしっかり絞ってから泡立てを始める方が失敗が少なくなります

最初は少量の水で泡立て始め、少しずつ水を加えながら好みの泡の硬さを調整すると良いでしょう。

十分に泡ができたら準備完了。個人的には気持ち水分量が少なめの濃密泡が好み。

4. 泡の塗布

ラザリングで泡立てたソープを髭に塗布していきます。

このとき、毛足が短く硬めのブラシを使っている場合は、顔に泡を乗せるように優しく塗布します。ゴシゴシ擦るのではなく、優しく撫でるイメージで泡を乗せていくようにするとやりやすいです。

毛足が長く柔らかめのブラシを使用している場合は、軽くマッサージするように泡を広げてもOK。

全体的に泡を乗せたら、ブラシをしごいて残った泡を搾り取り、それをさらに髭の上に重ねて分厚い泡の層を作ります。

髭に泡を乗せたら、このようにブラシをしごいて泡を取り、更にこの泡を重ねていく。

泡の層をしっかり作ることで、カミソリの刃が肌に強く当たりすぎるのを防ぎ、剃り心地の向上に繋がります。

5. シェービング

「順剃り→横剃り→逆剃り」と3回に分けて剃るのが王道のやり方とされていますが、僕は「斜め剃り→逆剃り→(必要に応じて)タッチアップ」という2〜3パス方式で剃っています。この方法が最も効率よく、かつダメージを抑えて綺麗に剃れるということに気づきました。

最初の「斜め剃り」では、髭の生えている向きに対して斜めに刃を入れて剃っていきます。

斜め剃りイラスト解説
このようなイメージで、斜めに刃を入れるように剃っていく。

斜めに入れることで髭の抵抗を抑えつつ、順剃りよりも効率よく髭をカットできます。

次に「逆剃り」。1パス目が終わったらソープを水で洗い流すという人もいると思いますが、僕はそのまま洗い流さずにソープを上乗せします。洗い流さない方が、ステップ2で塗布したプレシェーブ剤が残った状態を維持できるからです。

逆剃りイラスト解説
力加減を間違えると肌を傷つけやすいので、慎重に丁寧に。「剃る」ではなく「優しく撫でる」くらいの感覚で刃を動かす。

「逆剃り」はちょっと力加減を間違えると肌を傷つけやすいので、「斜め剃り」よりも慎重に、ゆっくり刃を動かすようにすると良いです。

逆剃りの場合も、髭が生えている向きに対して垂直に逆剃りするのではなく、僅かに斜めの角度から刃を入れるようにすると、抵抗感を減らしつつ剃ることができます。

急いでいるときは「斜め剃り→逆剃り」の2パスで終わらせても良いですが、最後に顔を手で撫でてみて剃り残しを確認し、部分的にタッチアップ(再度逆剃り)をします。

経験を重ねると剃り残しが発生しやすい場所も分かってくるので、タッチアップも最低限で済むようになります。

チリチリという髭が剃れる音のフィードバックを頼りに、剃り残しをサッと処理したらシェービングは完了。

カミソリの刃は、常に肌に当たるか当たらないかくらいの力加減で滑らせることが重要で、決して肌に押し付けないようにします。

おそらく、この力加減がクラシックシェービングにおいて最も難しい部分であり、何度も練習して感覚を身につける必要があります

僕の経験では、10ヶ月ほど練習を重ねると、「肌ではなく髭のみに刃を当てる」くらいの絶妙な力加減と角度の調整ができるようになり、シェービングの快適性が一気に向上しました。

6. 泡を洗い流し、冷水で引き締める

髭を剃り終わったら、泡をしっかりと洗い流します。

洗顔と同様にお湯で洗い流せばOKですが、最後に仕上げとして冷水で顔を引き締めると、爽快でかなり気持ちが良いのでおすすめ。

冷水での仕上げは毛穴を引き締める効果もあります。

7. アフターシェーブバームで肌を整える

アフターシェーブには大きく分けてローションタイプとバームタイプの2種類がありますが、僕のおすすめはバームタイプです。シェービング後の肌ケアとして、僕自身はバームを塗るだけにしています。

ローションタイプのアフターシェーブはアルコールが含まれているものが多く、使用すると肌が引き締まる感覚がありますが、その反面、肌の水分を奪い乾燥させてしまう可能性があります。

また、止血・収斂・殺菌を目的としてアルムブロック(ミョウバン)を塗るという方法も海外ではポピュラーなようですが、皮膚への刺激が強すぎるのではないかと思い、僕はこの方法を取り入れていません。

シェービング後の肌は敏感になっているため、刺激の強い物質をつけるのは避けるべきでしょう。できるだけ優しいケアを心がけることが大切だと考えています。

【結論】長く続けるほど面白くなっていく

クラシックシェービングの道具

クラシックシェービングの魅力は、長く続けるほど深まっていくように思います。時間をかけてスキルを磨けば磨くほど、その奥深さと楽しさが増していくのです。

最初は思うように剃れなかったり、カミソリ負けに悩んだりすることもあるかもしれません。

しかし、少しずつスキルが向上し、自分に合った方法を見つけていくことで、毎日のシェービングが楽しい趣味の時間へと変わっていきます

僕の場合は、クラシックシェービングを続けることで肌がキレイで健康的になってきているように感じています(なんか肌が綺麗と言われる)。

趣味として楽しみつつ、見た目も良くなっていくというのは良いもんですね。

今後も新しいシェービング用品を試しながら、自分にとって最適なシェービングスタイルを探求し続けていきたいと思います。

おすすめのシェービング用品

最後に個人的におすすめなシェービング用品をピックアップしてご紹介しましょう。

MÜHLE ROCCA

ドイツの髭剃りブランド、ミューレのカミソリホルダー。一時期、Rex Supply Co.のカミソリホルダーをメインで使っていたんですが、最近はまたROCCAを使うことが多くなっています。

僕が初めて購入した両刃カミソリがこのROCCAでしたが、スキルが上達した今改めて使ってみても、やはり良いカミソリホルダーだなぁと感じます。

Rex Supply Co.のKonsulもかなり良いカミソリホルダーなんですが、日本だと入手しづらいのでおすすめとまで言いづらいところ。

初めて両刃カミソリを買うなら、やはりミューレやロックウェルレイザーなど、日本でも購入しやすい有名どころのブランドから選んでみるのが良いでしょう。

Treet Platinum

パキスタンの替刃。色々な替刃を試してみた結果、これの剃り心地が最も好みでした。3回ほど使用しても切れ味はそんなに変わらない印象で、コスパ的にも優れています。

Cella Milano

シェービングソープ&アフターシェーブバームで一番気に入っているのがこのブランド。

赤いパッケージのシェービングソープは、杏仁豆腐みたいな面白い香りがします。アフターシェーブバームは使い心地がマイルドで、敏感肌の人でも使いやすいと思います。

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