お気に入りの偏愛アイテムについて語るこのシリーズ。
第2回目は「アンティークシューホーン(靴べら)」について。
僕にとってシューホーンは、日々の生活に無くてはならないマストアイテム。
ずっと好みのデザインのものを探していて、辿り着いたのがイギリスのアンティークシルバーシューホーンでした。
良いシューホーンを持とうと思ったきっかけ
「毎日・長く使うものには多少投資してもOK」というのが僕の買い物の考え方。
シューホーンは毎日使うので、良いものを使いたいなと思っていました。
ただ、なかなか良いものを見つけることができなくて、取り急ぎAmazonで買ったサフィールのシューホーンをずっと使っていました。
そんなある日、会社の同僚の女性にこんなことを言われたんです。
「いつも使っている靴べら、どこのですか?私も欲しいです!」と。
これは僕にとって衝撃でした。
靴を履く瞬間って、意外と見られてるもんなんだなぁと。
そんな出来事もきっかけとなり、「毎日使うし、意外と人に見られるものでもあるから、ちょっとこだわったものが欲しいなぁ」と思うようになりました。
理想のシューホーン、なかなか見つからない問題
僕にとっての理想のシューホーンは、次の3つの条件を満たすものです。
- ヘラの部分が薄い(厚いものだと履きづらいから)
- ジャケットの内ポケットに収まりが良い
- デザインが美しい
それまで使っていたサフィールのシューホーンは、使い勝手は完璧でした。
でも、ジャケットの内ポケットへの収まりが悪くて、常に持って歩くのはちょっとストレスだったんですよね。
デザインはシンプルで良いけど、ちょっと物足りない気もしてました。
そこで、色々とシューホーンを探したのですが、条件に合致するものが意外と見つからない。
ベルルッティやフットザコーチャーあたりのシューズブランドが出しているものも良いかなと思ったのですが、今ひとつ決め手に欠け、なかなか購入に踏み切れませんでした。
アンティークシューホーンという選択肢
そんな感じで長いこと理想のシューホーンを探し続けていたのですが、遂に見つけたのがこちら。
イギリス製のアンティークシルバーシューホーンです。
購入したお店はオールドアートアンティークさん。1点ものなので全く同じものはもう存在しませんが、まだ他にもいくつかアンティークシューホーンが売られているので、興味のある方はチェックしてみてください。。
出逢ってしまいました、心震えるレベルのアイテムに。
アンティークの定義
そもそも「アンティーク」という言葉ですが、古いもの全てがアンティークというわけではなく、明確な定義があります。
イギリスでは、作られてから100年以上経ったものがアンティーク、70〜100年経ったものはセミアンティーク、30〜70年経ったものはビンテージと呼ばれます。
そう、先ほどからアンティークと言っているこのシューホーン、1906年に作られたもの。
今から実に114年前に作られたものなのです。
なぜそんな細かい年数が分かるのかというと、イギリスの銀製品には「ホールマーク」という面白い仕組みがあるから。(ホールマークについては後述します)
種類がめちゃくちゃ豊富
イギリスのアンティークシューホーンは市場に結構出回っていて、その種類は本当に多種多様。
柄のデザインは、シンプルなものもあれば、非常に凝った作りのものもあります。長さも、長めなものから短めのものまで様々。
そして何と言っても、製品の状態も千差万別です。
100年以上経っているものなので、傷のつき具合や使用感はバラバラ。
だから基本的に同じものは無く、全て1点物と言えます。
美しい佇まい
僕は比較的状態が綺麗なものを購入しました。
柄の部分には非常に繊細な装飾が施されています。
さすがに多少の傷はついていますが、使用する上では何の問題もありません。
むしろ、小傷がいい感じの味となっており、めちゃくちゃカッコいい。
棚に置いてあるだけで、この存在感と美しさよ…。
使い勝手が驚くほど良い
正直、この商品は見た目重視で買ったようなものなので、使い勝手の部分はあまり期待していませんでした。
ところが、使ってみてビックリ。めちゃくちゃ使いやすい。
絶妙な柄の長さで、履くときもスッと抜ける感じ。すごく楽です。
使い勝手の面では「サフィール最強」なんて思ってましたが、これも同じくらい使いやすい。
見た目だけでなく使い勝手の面も計算されて作られたものなのかなぁと、当時のものづくりのクオリティに感動しました。
本来はペンとかを入れる場所なんだろうけど、ジャケットの内ポケットにジャストフィットします。
美しい上に使い勝手もいいって、素晴らしすぎる。
イギリスの銀製品が高い評価を受ける理由
イギリスの銀製品は純度が高く、「ホールマーク」という刻印システムがあることによって、世界で高い評価を得ています。
ホールマークという刻印システム
イギリスでは1238年よりシルバーにマークが押されるようになり、現在もそのシステムが続いています。
上の写真は僕のシューホーンの柄の裏側ですが、中央に刻印があるのが見えるでしょうか?
(見えずらいw 接写レンズが欲しくなりますね…)
このマークによって、シルバーの純度の検査を受けた場所、年代、メーカーなどが特定できるようになっています。
他サイトからの引用ですが、こんな感じで。
- アセイマーク:どこの都市で検査したかを表す。
- スタンダードマーク:銀の純度を表す。
- デートレター:枠の形と文字の組み合わせで、検査を受けた年を表す(この年号が制作年となる)。
- メーカーズマーク:どこの工房で作られたかを表す。
ホールマークのシステムが作られた背景としては、シルバーの品質を保持するという目的や、税金を払わせるという目的があったようです。
この信頼できるシステムのおかげで、イギリスの銀製品は高い評価を得ています。
実際にホールマークを解読してみる
僕のシューホーンには、中央に「錨マーク」「歩くライオンマーク」「アルファベットg」、中央から左よりに「R・P」の刻印があります。
これらの意味を読み解くと、
- 検査した場所はバーミンガム(シルバー製品の名産地です)
- 純度は92.5%(スターリングシルバー)
- 年は1906年
- メーカーはRobert Pringle & Sons
であることがわかります。
ちなみに、デートレターはめちゃくちゃ種類があるので、こういったデートレターの辞書みたいなものを使って調べることができるようになっています。
アンティーク蚤の市なんかでは、購入者はこういった本を片手に品物を見ていくんですって。
うーん、面白い。
114年前の英国紳士に想いを馳せて
このシューホーンを眺めていると、昔のデザインの美しさというか、佇まいの美しさを感じずにはいられません。
100年以上前、どこかの英国紳士が使っていたものが、巡り巡って僕の手元に辿り着いたと思うと、なんとも不思議な気持ちになります。
僕は最初からアンティークを探していたわけではなく、好みのデザインのものを探していたら、見つけたのがたまたまアンティークでした。
この体験で、「新しいものが全てではない」ということに気づかされました。
古いものには、古いもの特有の美しさがある。
本当に良いものは、こうやって時代を超えて受け継がれていくのだなぁと。
日常使いができて、同時に古き良き時代の美に触れられる。
このシューホーンは、僕のモノに対する価値観も変えてくれた、愛すべきアイテムの1つとなりました。
コメント
とても素敵ですね。どちらで手に入れられたのでしょうか。
コメントありがとうございます!
これはオールドアートアンティークさんというお店で入手しました。楽天でいくつか出品されています!
国内外の色々サイトを調べてみたのですが、状態の良いものは売り切れていることが多く、気に入ったものを見つけるのに苦労しました(笑)
昔の記事ですが、コメント失礼します。
こちらの記事でシルバーシューホーンに憧れ、ついに自分の気に入るものを手に入れました!
…手に入れたはいいものの、これから夏。
ジャケットを着る機会はめっきり減ってしまい、スッと使える携帯の方法が分からなくなっているのが現状です。
夏場、特になにも羽織らない場合、どのように持ち運んでいらっしゃいますか?
普段の使い方をより詳しくご教示いただきたいです!
>まみむさん
コメント頂きありがとうございます!
シューホーンは今でも大好きなアイテムで、コメント頂き嬉しいです!
まみむさんも気に入るシューホーンを手に入れられたのですね!
羽織ものが無いとき、困りますよね。わかります(笑)
僕は羽織ものが無い場合、パンツの前ポケットに入れるか、持っていればバッグに入れて持ち運んでおります!
パンツの前ポケットに入れる場合は、ポケットの端っこに寄せて、そのまま縦の状態でポケットに入っているイメージです。
スマホと一緒に入れてしまうとスマホの画面が傷ついてしまう恐れがあるので、スマホとは別のポケットに入れるようにしています。
ポケットにペンでも入れているような感覚ですが、僕が愛用しているシューホーンは平べったいデザインなので、歩いたり座ったりしても僕は意外と気になりませんでした。
ただ、ポケットが浅めでゆったりしたシルエットのボトムスだと、座ったときなどにうっかりポケットから落ちてしまうことがあるので注意が必要です(経験済み…笑)。
靴を履くときに、ポケットからさりげなくシューホーンを出すと驚かれることが多く、その場の会話のタネにもなってちょっと気分が良いです(笑)
結構普通な回答で申し訳ありません!ご参考になりましたでしょうか?
他にも何かございましたら、お気軽にコメント頂ければと思います!