クラシックシェービングを現代的にアップデートした「モダンクラシックシェービング」というものを提案したいと思います。
クラシックシェービングを始める上で1つ障壁となるのが、「色んな方法論や色んな選択肢があって、何が正解かわからない」ということではないでしょうか。
色々自分で試してみて、自分なりの正解を見つけていくのがクラシックシェービングの1つの醍醐味だと思いますが、それゆえ初心者にとっては敷居が高い世界になっているように思えます。
そこで、クラシックシェービング愛好者がもっと増えることを願い、モダンクラシックシェービングという考え方を紹介したいと思います。
これが正解だと言うつもりは全くありませんが、クラシックシェービングを楽しむ為の1つの指針となれば幸いです。
モダンクラシックシェービングとは何か?
クラシックシェービングとは、両刃カミソリなどを使って昔ながらの方法で髭を剃る方法のことです。参考までに、クラシックシェービングの雰囲気が分かる動画を紹介しておきましょう。
僕が提唱するモダンクラシックシェービングとは、このクラシックシェービングに現代的な解釈を加えてアップデートしようという試みです。
その目的はクラシックシェービングをより楽しむ為。
クラシックシェービングは、ランニングコストが安いとか、肌に優しいとか、いくつかのメリットが挙げられますが、僕がクラシックシェービングを行う最大の理由は「楽しいから」です。
気軽にサッと髭を剃れる電気シェーバーや市販のT字カミソリ、さらに言えばヒゲ脱毛という選択肢もある中で、わざわざクラシックな道具を使って髭を剃る理由は、単純にそれが楽しいからなんですよね。
僕が考えるモダンクラシックシェービングは、「道具・手順・技術にこだわりまくる」というのが考え方のベースとなっています。
「嗜好性の高い趣味・娯楽だからこそ、道具・手順・技術に徹底してこだわらないともったいない」というのがその理由です。
YMMVとシェービング5大要素
海外のクラシックシェービング情報を見ていると、「YMMV」という単語が頻繁に出てきます。これは「効果は人それぞれです」みたいな意味の略語です。
僕が思うに、クラシックシェービングがYMMVである理由は、シェービング体験が以下の5つの要素の掛け合わせで出来ているからです。
シェービング= ①道具 × ②手順 × ③技術 × ④環境 × ⑤特性
①道具とは「替刃やホルダーやブラシなど髭剃りに使う道具」のこと。
②手順は「どういうプロセスで髭剃りを行うか」で、③技術は「力加減やスピードなど髭剃りに関わるスキル」のことです。
④環境というのはちょっとピンと来ないかもしれませんが、分かりやすいところで言うと「水の硬度」なんかがこれに当たります。
例えば海外の硬水地域だと、シェービングソープの泡立てにめっちゃ苦労するらしく、そういう地域にお住まいの人が「このソープは泡立ちが良くない!」などとレビューしていることがあります。
他にも「周囲の音」なんかも実はめっちゃ重要な環境要素。クラシックシェービングは、音のフィードバックを捉えられるか否かで上達具合が変わってくるんですが、これはある程度静かな環境が必要ということを示しています。
最後の⑤特性というのは、「髭の質、生え方、肌質、好み」など個人の特性・好みのことです。
シェービングはこれら要素の掛け合わせで成り立っているので、仮に同じ道具を使ったり、同じ手順でやったとしても、他の要素の掛け合わせで体験の個人差が出てくるわけです。
ここで注目したいのは、これらの中でも変えやすい要素と変えにくい要素があるということ。
道具・手順・技術はいくらでも変えられる要素でしょう。だから僕が提唱するモダンクラシックシェービングは、この3つの要素にこだわることをおすすめしています。
一方で、環境や特性はそう簡単に変えられないものが多いはず。だから、環境や特性にあわせて道具・手順・技術を追求していくのが良いということになります。
これはクラシックシェービングを行うにあたって必ず押さえておきたいポイントです。
5大要素によって必ずYMMVが生じるということを理解しておくと、自分で色々実験していくのがより楽しく感じられるはずです。
道具の提案
ではここからは道具の選び方やシェービングの方法について具体的に紹介していきましょう。
替刃
まず重要度の高い替刃について。
クラシックシェービングの専門書「Leisureguy’s Guide to Gourmet Shaving the Double-Edge Way」には、「みんなカミソリホルダーに目が行きがちだけど、シェービングの快適さを大きく左右するのは替刃やで!」みたいなことが書かれています。
実際色々な替刃を使ってみると、それは確かにその通りで、同じホルダーを使っていても替刃が違うと快適さや滑らかさが違うことに気づきます。
ここで問題になるのは、自分に合った替刃を探すのが結構難しいということです。
替刃の規格は世界共通なので、世界中の替刃が選択肢となるわけですが、特徴も大して詳しく説明されていないから、どれを選べば良いのかさっぱりわかりません。口コミを参考にするか、勘でジャケ買いするしかないんですよ。
替刃を1つずつ試していく過程がクラシックシェービングの面白いところでもあるんですが、運悪く連続で相性の悪い替刃を選んじゃって両刃カミソリが嫌いになっちゃったら元も子もないでしょう。
というわけで僕は、替刃の選び方として「シャープネステストの数値を元に選ぶ」という方法を提案したいと思います。
世界には凄い人がいるもんで、海外のシェービングブログ「REFINED SHAVE」さんが、替刃の鋭さを数値で計測できる機器を用いて、替刃の鋭さを数値化してくれています。
このシャープネステストの数値を元に、最適な替刃を選んでみましょう(モダンなやり方でしょ?)。
見やすくする為に、公開されているデータを元に僕の方でグラフを作成しました(別の著名なブログ「Sharpologist」さんにもグラフがありましたが、肝心の商品名の文字が潰れていて読めない状態だったんで、僕の方で綺麗に作り直した)。
数値が低いほど鋭いということを表しており、左から新品状態で鋭い順に並べています。
面白いのは、新品状態の鋭さだけでなく、1回目の髭剃り後と2回目の髭剃り後の数値もあるという点です。
カミソリって段々鋭さが失われていくイメージがあるかもしれませんが、実際はそう単純ではありません。
グラフをよく見ると分かりますが、新品状態よりも1回目の髭剃り後の方が鋭さが増している(棒グラフの高さが低くなっている)ものがあります。
これはどういうことかというと、最初の使用により刃のコーティングが無くなって刃が剥き出しになり、鋭さが増しているということ。面白いですねぇ。
これらの数値を元にどう選べば良いかというと、新品〜1回目、2回目と使っていっても鋭さの変動が少ないもの、つまり使用に伴う棒グラフの高さ変動が少ないものを選ぶと、快適なシェービング体験が得られる可能性が高いようです。
あまりに変動が大きいものだと、いつも通りに剃っているつもりでも鋭さが変化しているんで、それが肌を傷つけてしまう原因になっちゃうわけですな。
鋭さの変動が比較的少ない替刃(棒グラフの高さ変動が少ないもの)を青枠で囲ってみました。
枠で囲ったものを左から箇条書きで並べると以下の通りです。
- Voskhod
- Astra Super Stainless
- Wilkinson Sword(Gillette)
- Treet Platinum
- Gillette 7 O’clock SharpEdge(Yellow)
- Rapira Swedish Super Steel
- Big Ben Super Stainless
- Derby Premium
- Merkur
- Rockwell Razors
初めて替刃を選ぶなら、この青枠の中から鋭い替刃からマイルドな替刃までを満遍なくピックアップするのが良いでしょう。
この中でも特に数値変動が少ないものには、グラフ上に「!」マークを付けておいたんで、それを選んでもいいと思います。
この選び方をすれば、おそらく最短で自分に合った替刃に辿り着くことができるはず。
どの辺の鋭さが自分にとって快適かは、どんなホルダーや潤滑剤を使うか、どれほどのスキルがあるか、どういう髭や肌質なのか等によって変わります(上述のシェービングの5大要素を思い出してください)。
快適に感じる替刃を見つけたら、それを使い続けるのも良いし、類似の鋭さを持つ替刃を開拓していくのも良いでしょう。
シェービングボウル(ラザリングボウル)
シェービングボウルとは、髭剃りの泡を作る為のボウルのことです。
クラシックシェービングについて調べていると、「シェービングボウルはなんでも良い。100円ショップのボウルでいい」と言われていることが多いんですが、僕はそうは思いません。
カミソリホルダーや替刃ほど多くの選択肢はありませんが、現代にはより効率的にモコモコの泡を作ることが可能な「ラザリング特化ボウル」みたいなものが存在します。
※ラザリング=泡立ての意味。
僕が使っているのはByron Shaving Companyさんの「LATHER MASTER」というボウル。
泡立てを効率化する為のシリコンインサートが付いていて、素早くモコモコ・モチモチの泡が作れるようになっています。
これを使っちゃうと、もはや普通のボウルなんて使う気になれない…と思うくらい異次元のラザリング体験ができるんで、これを買って本当に良かったなと思っています。
他にも、芸術性の高い職人系シェービングボウルや、温かい泡を作ることができるシェービングスカットルを選んでみるなんていうのもアリ。
↓例
シェービングボウルを検索すると、泡立て用のボウルと、固形石鹸を入れておく用の小さいボウルが混在して出てくるので注意。
ミューレのこれとかは多分、固形石鹸を入れておいてフェイスラザリング(顔で泡立て)する用のボウルです。
クラシックシェービング自体が趣味性・嗜好性の高い娯楽みたいなもんなのですから、ホルダーやソープや替刃にこだわるならボウルにもこだわった方が良いと思うんですよね。
髭剃りに直接的に影響を及ぼさないかもしれないけど、ボウル1つでラザリング体験が全然変わるんで、せっかくクラシックシェービングをやるならここも楽しまないともったいないと思います。
ソープ
ソープは“Three T’s”と呼ばれる昔からの王道ブランド(Taylor of Old Bond Street, Geo. F. Trumper, Truefit & Hill)あたりも良いと思うのですが、近年誕生した比較的新しいArtisanal soap makers(職人系石鹸メーカー)のソープがめちゃくちゃ面白いのでおすすめ。
職人系石鹸メーカーはそれぞれ個性やこだわりがあって、メーカーによって製法や成分や香りが全然違っており、選ぶのが楽しいです。
固形石鹸ではなく、シェービングクリームでもなく、容器に詰められているタイプの半固形みたいなタイプのシェービングソープがおすすめ。
成分や香りなど多種多様な選択肢がありますから、複数揃えてその日の気分に合わせてソープを変えてシェービングするなんてお洒落じゃないでしょうか。
ちなみに今僕が気に入っているブランドはBarrister and MannとSoap Commanderです。
Barrister and Mannは獣脂ベースのソープで、香りやパッケージが洗練されていて好き。僕が見た限り、数あるArtisan Soapの中でも製品としての完成度が頭一つ抜けているように感じられました。使っていて非常に満足度が高いソープですね〜。
Soap Commanderは動物性の原料を使用しておらず、シアバターやココナッツオイルを主体としたソープです。香りの名前が面白くて、Honor(名誉)やCourage(勇気)みたいな抽象名詞が付けられているんで、例えば「勇気をつけたい日はCourageの香りを選ぶ」なんて楽しみ方ができます。
どちらのブランドも定期的に限定品をリリースしているんで、限定版を集めていくのも面白いかもしれません。
Shave and Grindさんがいくつかレビューされているのでご参考に。
アフターシェーブ
アフターシェーブローション・アフターシェーブスプラッシュというものが売られていますが、髭剃り後だからといって必ずしもアフターシェーブ専用品を使わなくて良いと思います。
特にアルコールが入ったアフターシェーブ商品は、場合によってはめちゃめちゃ肌に染みて痛い場合があるし、アルコールが蒸発するときに肌の水分も一緒に奪ってしまう為、人によっては乾燥を引き起こしてしまう可能性があります(それが快適だと感じるなら別に使ってもいいんだけど)。
ですから、アフターシェーブ用品にこだわらず、自分の肌にあった刺激の少ない保湿剤をつけるのがよろしいかと思います。
これに関しては僕もまだベストなアイテムを見つけきれていないんですが、現状はラロッシュポゼのトレリアン センシティブ リッチというクリームを使用しています。
肌の沈静化にアルムブロック(ミョウバン)を塗るという方法もありますが、アルムブロックはデオナチュレみたいに脇の下に塗るもんだというイメージがあるんで(笑)、個人的には試したいとは思いません。
購入場所
シェービング用品の購入場所は、アメリカのMAGGARD RAZORSというサイトがおすすめ。ここはシェービング用品を専門に扱う、総合ストアみたいなお店です。
もちろん、日本への国際発送に対応しています。品揃えが豊富だし、発送も速くて、東京から注文すると大体1週間くらいで到着する感じ。
届け間違いが無いように商品のチェックみたいなこともちゃんとしているっぽいから、丁寧さの面でも信頼できるストアではないかと。
輸送手段にFedExを選ぶと、注文後にトラッキングナンバーを送ってくれるんで、配達の進捗確認もできて安心です(海外のストアによってはトラッキングナンバーを送ってくれないところもあったりする)。
日本にはMAGGARD RAZORSさんレベルのシェービング専門店は存在しないんで、クラシックシェービング用品を色々揃えようと思ったらやはり海外のサイトで買うことになっちゃいますね〜。
海外サイトだからと言って別に難しいことはなく、簡単に買えるのでそんなにビビる必要もありません(関税には注意です)。
手順の提案
続いては手順に関する項目を見ていきましょう。
蒸らし
「シェービング前に、顔にホットタオルを当てて髭を柔らかくしましょう」と説明されているサイトも多いのですが、これも必ずしもやらなきゃいけないわけじゃないと思います。
普通に洗顔しちゃえば髭はある程度柔らかくなるでしょうし、シャワーを浴びたりお風呂に入ったりして髭を柔らかくしちゃう、という手もあります。
僕はシャワーを浴びて髭が柔らかくなってから剃るようにしているんで、ホットタオルで蒸らしなどはしていません。
「ホットタオルが使われるのは理容室で、その理由はお客さんが洗顔できないからである」みたいな説を読んだことがありますが、なるほどな〜と納得しました。
ただし、ホットタオルが気持ち良いと感じるならもちろんホットタオルを使えばOKです。この辺もYMMVですね。
ラザリング(泡立て)
ボウルで泡立てるボウルラザリング、顔で泡立てるフェイスラザリング、手の平で泡立てるハンドラザリングなどいくつかやり方はあるのですが、個人的にはボウルラザリングを推奨したいです。
理由は、ボウルラザリングの方が効率的で、衛生的で、ボウルという道具自体も楽しむことができるから。
まず顔で泡立てるやり方ですが、顔にグリグリとブラシを押し付ける行為があんまり肌によろしくないんじゃないかと思うんですよね。
マッサージ効果があるとも言われていますが、そもそも顔はマッサージなどしない方が良いんじゃないかと思っています。
まぁ、肌にカミソリの刃を当てている時点でそんなこと気にしてもしょうがないかもしれませんが(笑)、できるだけ不要な刺激は避けた方が美肌の為にもよいでしょう。
ラザリングの為のボウルを持っておけば、最初にボウルにお湯を張ってボウルとブラシを温めておくということができます。
加えて、前述の通りラザリングに特化した専用のボウルを使えば、顔や手で泡立てるよりも素早く豪華な泡を作り出すことが可能。
ボウルで泡立てた泡を、顔に優しく乗せるように塗れば、肌への刺激も少なく済むはずです。
ちなみに、ソープはヘラなどですくってボウルの底にくっ付けるというやり方がおすすめです。その方がソープに雑菌が繁殖するのを防げて衛生的だし、蓋を開ける時間も最小限で済むから香りも飛びづらい。
僕が使っているのは、Amazonで買えるシンプルなバターナイフです。カミソリホルダーがステンレス製なので、バターナイフもステンレスで統一しました。硬めのソープでも良い感じに掬えるし、鋭利じゃないからお手入れも簡単で使いやすいです。
ソープの容器にブラシを突っ込んでブラシにソープを付けるやり方(これをローディングという)は個人的にはおすすめできないですね。
これをやるとソープの容器に水が入っちゃいますが、水分が残った状態で蓋を閉めると雑菌が増える恐れがあります。
それを防ぐ為に水気が無くなるまで蓋を開けっぱなしにしておくと、今度は香りが飛んでしまうことになる。
ですから、個人的には「ラザリングはヘラでソープを取って専用ボウルで泡立てる」という方法が良いと思っています。
技術の提案
続いて技術について。
技術の学習
既出ですが、クラシックシェービングの学習には「Leisureguy’s Guide to Gourmet Shaving the Double-Edge Way」という本を強くおすすめしたいです。
先人の知恵を全て集結させたような神本で、両刃カミソリを使ったシェービングテクニックについてかなり詳しく記述されています。
正直、この本以上に網羅的かつ体系的にシェービング技術についてまとまっている良い情報源は見つけられませんでした。
ただ洋書なので、読書のハードルは高め。Kindleで買って翻訳機能を使いながら読むと良いかもしれません。
重さではなく、圧力・角度・ストローク
クラシックシェービングのハウツー情報を調べていると「カミソリホルダーの重さで剃るように」というアドバイスがよく出てきます。
しかしこれは、わかるようで良くわからない表現です。重さで剃るというなら、逆剃りや横剃りの時は一体どうしたら良いのか(笑) 本当に重さで剃るなら、天井を向いて剃らなきゃいけなくなります(そんなことしない)。
大事なのは重さではなく、カミソリを当てる圧力と角度でしょう。多分、重さで剃れというアドバイスは「カミソリの重さが感じられるくらいソフトな圧力で剃りましょう」ってことなんじゃないでしょうか。
「Leisureguy’s Guide to Gourmet Shaving the Double-Edge Way」には、圧力のアドバイスとして「日焼けでヒリヒリした肌を撫でるくらいのイメージで、優しく肌の上を滑らせるように」と書いてありました。具体的でわかりやすいですな。
角度はよく30度と言われていますが、使うカミソリホルダーによって感覚が微妙に変わってくる気もするんで、30度を目安に色々試してみるのが良さそう。
また、これは僕がクラシックシェービングを実践する中で気づいたのですが、カミソリが同じ箇所を何度も通らないようにすることもめちゃくちゃ重要です。
泡をつけずに二度剃りみたいなことをして、泡が無い箇所にカミソリを滑らせると、当然ながら肌にダメージを与えやすいです(髭剃り後の化粧水がちょっと染みたりする)。
ストロークは短めに、とアドバイスされることが多いですが、短めを意識しすぎて何度も同じ箇所に刃を当てると肌が痛みます。
髭の生えている向きなどをよく観察し、できる限り1ストロークでスパッと綺麗に剃ることを目指して、最適なストローク距離と方向を見定めていくようにすると、上達も早いのではないかと思います。
順剃り・横剃り・逆剃りはケースバイケース
「順剃り→横剃り→逆剃りの3パスで剃りましょう」というアドバイスが多いですが、これもケースバイケースで必ずしもそうしなきゃいけないわけじゃありません。
僕の場合、わりと髭が伸びている状態なら順剃りから始めますが、そんなに髭が伸びていない状態ならいきなり逆剃りから始めて、逆剃り×2の2パスで終わらせることもあります。
もちろん髭が水分を含んで十分に柔らかくなっていることが前提ですが、僕の場合はこのやり方でダメージも無く、スベスベな仕上がりが得られます。
3パスにこだわらず、髭の状態や肌質などに合わせて、自分にとって快適なやり方を見つけていくのが良いと思います。
聴覚と触覚からフィードバックを得る
クラシックシェービングを始めて気づいたのですが、シェービング時の「音」がこれほど重要だとは思いませんでした。
音で剃れているか剃れていないかが分かるんで、耳を澄ませて音を頼りにカミソリを動かしていくと、やがて適切な方向や角度が掴めてきます。
ですから、シェービングは静かで無音の環境で行うのがおすすめ。シャワーを流しっぱなしにしたり、音楽をかけたりしていると、音のフィードバックが掴めず技術の上達を妨げる恐れがあります。
また、肌を触ってみて、髭の残り具合や生えている向きをチェックするのも重要です。
「髭の生えている向きなんて確認するまでもなく普通に分かるだろう」と思っていたんですが、実際にクラシックシェービングに取り組んでみるとそんなに単純なものじゃないことがわかりました。
上の項目で説明した通り、1ストロークで綺麗に剃ろうと思ったら、髭の位置や向きを正確に把握している必要があります。
こればかりは個人差が大きいと思うんで、シェービングを繰り返して学習していくしかないと思いますが、髭の生えている方向を入念に観察するつもりで取り組むと、技術の上達も早まるでしょう。
理容室を超える体験
クラシックシェービングについて、たまに「理容室で髭を剃ってもらうような体験ができる!」と紹介されているものを見かけるのですが、個人的にはそうは思いません。
クラシックシェービングは「理容室を遥かに超える体験」だと思います。
好きなホルダーと替刃を使い、好きな香りのソープを自分好みの質感に泡立て、自分の特性に合った剃り方で剃っていく。ここまで自分好みにパーソナライズされた髭剃りは、理容室でも体験できないでしょう。
またシェービングは技術なので、自分のスキルがどんどん上がっていくというプロセスにも、楽しさ・面白みを感じることができます。
無味乾燥な髭剃りという作業が、日々を鮮やかに彩る楽しい趣味になる。これこそが、クラシックシェービングの大きな魅力と言えましょう。
昔は「髭剃り面倒くさいなぁ」とか思っていましたが、今では髭剃りをするのが楽しくて待ち遠しいほどです(笑) 髭が生える体質で本当に良かったなと思いました。
僕は口髭・顎髭を生やしているんですが、クラシックシェービングを始めてからは、より髭のデザインやメンテナンスに気を配るようになりました。結果、顔面の完成度がよりレベルアップした気がします(笑)
これまでも髭はなんとなく整えていたつもりでしたが、クラシックシェービングで髭をよく観察するようになったおかげで、髭のデザインもより綺麗に整えるようになりましたね。
今ではすっかり髭剃りが楽しくなって、お気に入りの道具と共に、クラシックシェービングを存分に楽しむ日々を過ごしております。
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