プロフェッショナル向けとして新発売されたヨセミテのカメラストラップ「TOTEM(トーテム)」を購入してみました。
ヨセミテストラップは、本格的なクライミングロープを素材に使用したことで知られる人気のブランドです。その独特のデザインと機能性から、愛用者も多いようです。
今回は、実際に「TOTEM」を使ってみた感想や、メリット・デメリットについて紹介します。
2WAY仕様のカメラストラップ「TOTEM(トーテム)」
今回購入したのは、ヨセミテカメラストラップの「TOTEM(トーテム)」マッドブラックです。
この商品の最大の特徴は、2WAY仕様であること。
ストラップ部分のロックパーツが左右対になる形で設けられており、クイックリリースでロープを取り外すことで、ハンドルストラップスタイルに切り替えることが可能です。
こういった機能を持つカメラストラップはあまり見かけません。
ヨセミテストラップには似たモデルとして「ヨセミテカメラストラップ プロ」という製品もあります。
ヨセミテカメラストラップ プロの場合、ハンドルストラップスタイルにしたければ、別途「ヨセミテカメラストラップPROハンドル」を購入する必要があります。
一方、「TOTEM」は単体でハンドルスタイルが可能。追加パーツを持ち歩く必要がなく、スマートに使えるのが特徴です。
ヨセミテカメラストラップの多くのモデルではバイカラーが採用されていますが、「TOTEM」はカメラリングに至るまで全てがオールブラックとなっています。
クライミングロープの太めなデザインゆえにややカジュアルな印象を受けるものの、黒で統一されたことでシックな雰囲気も感じられます。
カメラに取り付けるストラップ部分は太めで頑丈な作り。経年劣化や破損の心配は少なそうです。
僕にとって、クイックリリースできる機能は必須でした。
理由は、家で俯瞰撮影をする際にストラップが邪魔になるからです。
そのため、カメラを外に持ち出す時だけストラップを付け、撮影環境によって簡単に取り外しができる製品を探していました。
「TOTEM」はクイックリリース機能があり、かつハンドルストラップとしても使えるという仕様がユニークだったので、ちょっと使ってみたくなったのです。
ハンドルストラップスタイルが意外と気に入った
実際に使ってみて感じたのは、ハンドルストラップスタイルが意外と便利だったということです。
小さなバッグを手に持つような感覚で、指先に引っ掛けてカメラを持ち歩けるのがラクだと感じました。
僕が「TOTEM」を購入する前、しばらくの間カメラにはストラップを付けていませんでした。外にカメラを持ち出すときは、本体をそのまま手で持つことが多かったのです。
しかし、この方法だと指先にずっと力を入れていなければならず、どこか緊張感が伴います。うっかり手を滑らせたら、カメラ本体を落としてしまうリスクがありますので、常に気が抜けない状態でした。
ハンドルストラップにした「TOTEM」を使ってみたところ、持ち運びの感覚が大きく変わりました。
ハンドルに指を引っ掛けておくだけでしっかりとホールドできるため、落下の心配がほとんどありません。
持ち方がちょっと変化しただけですが、カメラを持ち歩く際のストレスはかなり軽減されました。
もちろん、首から下げる従来のスタイルも便利です。しかし、首や肩に負荷がかかり続けると、長時間使用するうちにだんだん疲れが溜まってくるんですよね。
そのため、僕は首掛けのスタイルに疲れてきたら、ハンドルストラップに切り替えて持ち歩いています。
状況に応じて柔軟に使い分けられる点は、2WAY仕様ならではの魅力だと感じます。
長さは111cmか?126cmか?
ヨセミテカメラストラップには、111cmと126cmという2種類の長さが用意されています。
僕も購入時には少し迷いましたが、最終的に111cmを選びました。
111cmの長さは、斜め掛けにしたときにカメラが腰の少し上にくる程度の長さです。
この長さなら、歩行時や移動中にカメラがぶらぶらと揺れることが少なく、安定して持ち運べます。
前にぶら下げるスタイルでも、特に違和感なく使える長さでした。
これが126cmだと、歩行中にカメラが体から離れがちで揺れる可能性があります。特に小走りしたり、自転車に乗ったりするときには、この揺れが気になるかもしれません。
一方で、126cmの方が便利な場面もあります。特に、撮影時にカメラを前に引き寄せてファインダーを覗く場合、126cmの方が余裕を持って構えられると思います。
厚手のアウターを着ている場合なんかも、126cmの方が取りまわしやすいでしょう。
111cmだと撮影時の動きがやや窮屈に感じました。
これらの点を踏まえると、持ち運び時の安全性を重視するなら111cm、取り回しのしやすさを重視するなら126cm、といった基準で選ぶのが良いと思います。
僕の場合は斜め掛けスタイルで安定させて持ち運びたいと思っていましたから、この点では111cmの選択が正解だったと感じています。
一部では「結んで長さを調整する」という方法も推奨されていますが、僕はその選択肢を避けました。
ロープを結ぶと見た目が美しくなさそうだなと思ったので、僕はロープを結ばずにそのまま使うことを想定して、111cmをチョイスしております。
実はデメリットも多かった
「TOTEM」は公式サイトで「プロフェッショナル仕様の最高峰のカメラストラップ」と謳われています。
しかし、実際に使ってみると、デメリットがいくつか見えてきました。僕が感じた主な問題点を挙げてみます。
ロックパーツが特殊すぎる
この点が最もがっかりしたポイントです。ロックパーツの使い勝手がめちゃくちゃ悪いのです。
左右に突き出たレバーをつまんでクイックリリースする仕様ですが、片方のレバーが異常に硬く、初めて外すときは5分以上かかりました。
ストラップを引っ張りながらレバーをつまむ必要があり、片手での取り外しは困難です。利便性は決して良くありません。
一方で、意図しないタイミングで外れてしまったこともありました。
斜め掛けした状態で椅子に座り、立ち上がる際にロックが外れてしまったのです。おそらくレバーが椅子に当たり、偶然外れてしまったのだと思います。
幸いカメラを落とすことはありませんでしたが、こんなの一番起きちゃいけない事故じゃないでしょうか(プロ向けとは一体…)。
ロープが硬い
クライミングロープを使用しているため、素材が非常に丈夫である点は評価できます。
しかし、新品の状態ではロープが硬く、首や肩に負担を感じます。
僕は購入後、ロープを手で曲げたり伸ばしたりして柔らかくする作業を繰り返して、ロープを慣らしました。
ぐにゃぐにゃいじっていたら、だいぶ柔らかくなりましたね。
交換パーツがない
「TOTEM」では、クイックリリース部分などの交換パーツが販売されていません。
例えば、同じヨセミテブランドの「プロ」モデルでは、パーツを単品で購入可能ですが、「TOTEM」はそれができない仕様です。
もしロック部分が壊れてしまった場合、全体を買い替える必要があるので、メンテナンス性に欠けます。
首や肩への負担は軽減されない
ヨセミテカメラストラップのレビューには「首や肩への負担が軽減される」と書かれていることがありますが、僕は特にそういったメリットを感じませんでした。
「TOTEM」はショルダーパッドなどの付属品がないため、重いカメラを長時間使用する場合、ロープが首や肩に食い込む感覚があります。
この点で、他社のショルダーパッド付きストラップに劣ると感じました。
この製品が本当にプロフェッショナル向けなのであれば、重たいカメラを持ち歩くシーンも想定して、ショルダーパッドを付けられるようなオプションがあっても良かったんじゃないかと思いました。
使う人を選ぶカメラストラップ
「TOTEM」を実際に使ってみて感じたのは、このカメラストラップはかなり使う人を選ぶ製品だということです。
クセが強い道具を使いこなす楽しさを求める人には良いかもしれませんが、シンプルさや扱いやすさを重視する人には向いていません。
個人的には、2WAY仕様については評価しています。ハンドルストラップスタイルに簡単に切り替えられる点は、僕の撮影スタイルに合っていました。
しかし前述の通り、いくつか使用上のデメリットもありますから、購入を検討する際にはこれらの点を踏まえた方が良いでしょう。
使用感や使い勝手の良さだけで言えば、ピークデザインのカメラストラップの方が上です(以前これを使っていました)。もしハンドルストラップスタイルが不要なら、こっちの方がおすすめかな。
もし「TOTEM」の購入を考えているなら、自分の用途やスタイルにこのストラップが本当に合っているかを慎重にご検討を。
「TOTEM」を使うなら、「時間をかけて、クセのある道具に慣れていく」みたいな覚悟が必要です。
「プロフェッショナル向け」とは、「プロユースに耐え得る」という意味ではなく、単に「慣れないと使いづらい」という意味だったのかもしれません(笑)
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