ミューレのシェービングブラシを毛の素材別に比較してみます。
ソープを泡立て、顔に泡を塗るときに使用するシェービングブラシですが、ミューレの場合はアナグマ毛ブラシと人工毛ブラシの2種類の選択肢があります。
両方を比較したレビューが全く見当たらないので、初めて購入する方はどちらを選ぶべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そこで、両方購入した僕が使用感や違いなどを比較レビューしていきたいと思います。
アナグマ毛と人工毛どっちがいいのか問題
シェービングブラシには、豚毛や馬毛や猪毛など色々種類がありますが、やはり定番はアナグマ毛か人工毛でしょう。
僕も初めて購入するときは、この2種のどちらにすべきか迷いました。
アナグマ毛と人工毛の特徴はググればすぐに出てくるんだけど、毛の違いによって実際使用感がどう違うのかなど、具体的なことはさっぱり分からなかったんですよね。
そこで僕は、両方購入して比較してみることにしました。
僕が購入したのは、ミューレのROCCAシリーズのシェービングブラシです。
ちなみに人工毛ブラシはシェービングセットと一緒にドイツのミューレ公式から購入し、アナグマ毛ブラシは替えブラシヘッドを日本のミューレ公式から購入しました。
ミューレのブラシは、こんな風にブラシの先端がスクリュー型(ねじ込み式)になっており、簡単に取り外し・交換ができるようになっています。
替えブラシヘッドが単品で売られていますから、ヘッドさえ購入すれば、同じ持ち手(ボディ)を使って2種類の毛先を試すことができるんですよね。
他社のブラシだと接着剤でくっつけるタイプがほとんどだったりするんで、スクリュー型なのはわりと珍しいのかも?
これを使って、双方のブラシヘッドの使用感をレビューしていきたいと思います。
ミューレのアナグマ毛ブラシ(ROCCA)
まずはミューレのアナグマ毛を見ていきます。
購入したのは「替えブラシヘッド シルバーチップバジャー(ROCCA用)」。
シルバーチップというのはアナグマ毛のランクを表す呼び名で、一応、最も柔らい部分の毛を使っていて最高品質のものという意味です(ただし各社で評価基準がバラバラらしい)。
アナグマ毛と言えば、気になるのは「獣臭」と「ブレークイン作業」ではないでしょうか。
ちょっとググってみるとわかりますが、一般にアナグマ毛ブラシは獣臭さが残っており、獣の油分も多くついている状態なので、ブレークインと言って臭いと油分を落とす作業が必要とされています。
なぜそういう処理を製造時にメーカー側がやってくれないのか謎ですが、まぁアナグマ毛ブラシとはそういうものらしいです。
で、実際ミューレのアナグマ毛ブラシはどうだったかというと、まず新品状態で臭いはほとんど感じられませんでした。
「アナグマ毛は強烈な獣臭がする!」という前情報があったので、ある程度の臭いは覚悟していましたが、ほぼ無臭に近いレベルで逆に面食らいましたね。
ブラシを濡らすと変わるのかもしれないなと思い、今度は濡らした上で匂いを嗅いでみたんですが、微かに「人工毛とは少しだけ違う匂いがするな〜」くらいに感じる程度でして、個人的にはそのままシェービングブラシとして使い始めても気にならないレベルだと思いました。
ミューレのブラシは、もしかしたらある程度は臭い取りの処理を入れてくれているんですかね?
ただし、ブレークイン作業は必要でした。臭いはほぼしないものの、毛の油分は残っているようで、初回のラザリングでは泡立ちがかなり弱かったです。
と言っても僕が行ったブレークイン作業はとてもシンプルで、「シェービングソープを泡立てて洗い流す」という作業を3回繰り返しただけ。これだけですぐに使えるようになりました。
1回目は泡立ちが悪かったんですが、2回目からは普通にモコモコの泡が作れた感じ。
すぐに洗い流しても良かったんですが、一応慣らしってことで、泡をつけたまま1時間ほど放置し洗い流しました。
この時点でブラシにはソープのめっちゃいい匂いが移り、獣臭は皆無です。
そして3回目。もう十分に実践投入できるほど泡立ちが良かったので、ここでブレークイン作業終了としました。
ちなみに毛抜けはほぼ無し(1本くらいあったかも)。安いものだと大量にブラシの毛が抜けるみたいなこともあるようですが、さすがミューレはそんなことは一切無かったです。
ブレークインのやり方は様々あって、「熱湯に漬ける」とか「中性洗剤に漬ける」とか「水につけて1晩寝かす」とか調べると色々出てきますが、ミューレのブラシの場合は普通にソープを数回泡立てるだけで良かったです。
実際にブラシを使ってみると、使い心地としては毛に弾力があってモッチリしている感じ。毛量も多くみっちり詰まっており、後述の人工毛ブラシとは感触が全然違います。
適度にコシがあるので、ボウルラザリングがしやすく感じました。吸水すると、寝癖が爆発した人みたいにブラシの毛がブワッと広がるのも可愛げがある(笑)
弱点としては、使用前にお湯に浸けて毛に給水させておく必要があるのと、使用後に乾くまで1日以上掛かるってところが挙げられます。
毛自体が水分を含むからか、使用後にティッシュなどで入念に水分を拭き取ったとしても、1日は置いておかないと完全に乾かないです。
ミューレの人工毛ブラシ(ROCCA)
次にミューレの人工毛ブラシを見てみましょう。合成繊維ということでSynthetic(シンセティック)と表記されることが多いですが、ミューレではSilvertip Fibre(シルバーチップファイバー)という商品名が付けられています。
↓日本のサイトで見つけられなかったんでドイツのミューレ公式サイトリンク貼っておきます。
毛の色は白っぽい感じ。触った感触はアナグマ毛よりも柔らかく、かなりソフトな印象です。
目をつぶって触り比べても違いが分かるくらい、アナグマ毛と人工毛は感触が違いますね。
人工毛は、アナグマ毛と違ってブレークイン作業は不要で、使用前にお湯に浸けて給水させておく必要もありません。サッと濡らせばすぐに使えます。
さすが合成繊維、ラザリングしてみると初回から豪快に泡立つ。
アナグマ毛ブラシと同様に、人工毛ブラシも使っていて毛が抜け落ちることはほぼありませんでした。
最初は顔に泡を塗る際に毛がチクチクするなぁと感じたのですが、使っていくうちにブラシがこなれたのか、僕のブラシ使いスキルが上がったのか、チクチクしなくなりました。
使い終わった後に乾くのもめっちゃ早くて、使用後2~3時間後くらいにはカラカラに乾いているように見えます。
日頃から清潔に保ちやすいし、これなら旅行とかにも持って行きやすいですね〜。
弱点は、アナグマ毛と比べると毛の質感がちょっと貧相に感じるところでしょうか。
単体で使っている分には気にならないと思いますが、アナグマ毛と使い比べると人工毛は毛量が少なく、ソフトな質感も相まって若干スカスカに感じられます。
毛先が柔らかい故に、もの凄く力いっぱいにボウルラザリングをやっちゃうと、毛先が絡まりやすいのも注意が必要です。
最適解はこれだ
さて、ここでこれまで見てきたミューレのアナグマ毛ブラシと人工毛ブラシの特徴を表でまとめてみましょう。
項目 | アナグマ毛ブラシ | 人工毛ブラシ |
---|---|---|
質感 | もっちりしていてコシがある | さらっとしていて柔らかい |
毛量 | 多い(ぎっしり) | 普通 |
泡立ち | 良い | 良い |
肌あたり | 強め | 弱め |
浸水要否 | 必要 | 不要 |
乾く時間 | 1日 | 数時間 |
ブレークイン | 必要 | 不要 |
メリット | 贅沢な質感、経年変化も楽しめる | ソフトで肌あたりが優しい、使用や手入れが簡単 |
デメリット | ブラシへの給水時間が必要、乾くまで時間が掛かる | 毛が柔らかすぎて少し貧弱に感じる |
おすすめシーン | リッチな気分でゆったり優雅にシェービングしたい時 | サクッと手早くシェービングしたい時、旅行時 |
それぞれ特徴が異なっていて面白いです。想像していたより使用感に違いがありました。
では、実際おすすめなのはどちらでしょうか?
もし予算に余裕があるなら、僕が最もおすすめしたいのは「両方買うこと」です。
両方あれば、気分やコンディション、使用するソープなどアイテムに合わせてブラシを使い分けることができます。これがめちゃくちゃ楽しいんですよ。
購入当初は「どちらかのブラシは出番が少なくなるだろうな」と思っていたのですが、意外や意外、両方とも同じくらいの頻度で使い続けております。
例えば僕の場合、ブラシを浸水させておく時間が無い時は人工毛ブラシを使いますし、ゆったり時間をかけて優雅なシェービングタイムを楽しみたい時はアナグマ毛を使っています。
他にも、連日シェービングする時は早く乾く人工毛ブラシを選ぶ、獣脂ベースのシェービングソープにはアナグマ毛ブラシを合わせる、など道具のコーディネートを楽しんでいます。
また、ブラシの寿命は一般に5~7年くらいと言われているようですが、交互に使うなどすれば10年以上は持つようになるんじゃないでしょうか。ブラシの寿命が伸びるのも、複数のブラシを使い分けるメリットです。
せっかく嗜好性・趣味性の高いクラシックシェービングなんで、気分や用途に応じて、道具の使い分けも楽しむというスタイルが個人的にはイチオシです。
もし初めて購入するとか、どちらか1つだけ買いたいという場合は、人工毛ブラシがおすすめ。人工毛なら手軽に使えてメンテもそんな気にしなくて良いので、連日使用するなどしやすいからです。
もちろん、予算があるならアナグマ毛ブラシを2本揃えてローテーションして使うってのも良いと思います(アナグマ毛の場合はそうした方がブラシが乾いて衛生的に良いとされている)。
シェービングブラシ選びの基準
色々書きましたが、最も重要なブラシ選びの基準は「自分が心地よく使えるかどうか」だと思います。
結局、僕の場合はアナグマ毛の使用感も人工毛の使用感も心地よく感じ、両方気に入ったということ。
購入する際はできれば実物を触ってみて判断するのがベストだとは思うんですが、日本だとちょっと難しそうですね(クラシックシェービングがマイナーすぎて、日本には専門店みたいなのが無い)。
代替案として、まずは安いものをいくつか買ってみて、自分の好みを確かめてみるってのも一つの方法かもしれません。
激安のものならAmazonで500~600円くらいから帰るんで、その辺でお試しするのも良いかもですね。これだけ安いと、質もそれなりになるかもしれませんが。
シェービングブラシは毛先以外にも、持ち手の形状や素材などにも色々なバリエーションがあります。
何種類か所有して、その日の気分によって使い分けるのも楽しいでしょう。クラシックシェービングは、ブラシ選びだけでもめちゃくちゃ楽しめて面白いです。
コメント
毎回読み応えのある記事でほんっと楽しいです!
この沼っぷり、最高です!
>三田さん
コメント頂けてとても嬉しいですー!
クラシックシェービングは日本でまだまだマイナーなので、面白さを発信することでもっと普及させていきたいです!(笑)